第352話 君がいなければ僕は、オレは死んでいた

「じゃあまた進藤と愛梨は置いといて次の方!あ、ではではアリス!」


「はい!アリスです!知ってることとか少ないかも知れないけど頑張ります!」


いや、アリス先輩は頑張らないんだけど……


「では、スタート!」


「では。」


「あ、黒井さん。」


「皆さんにはアリス様、いや、アリスお嬢様がどれだけ素晴らしいか伝えたいと思います。私がボディーガードとしてこの家、百合愛家に入った時、私は一年で死ぬつもりでした。ですがアリス様の優しい言葉にアリスお嬢様の可憐な姿に恋、ではなくまるで芸術作品を見るようなそんな目で追うことが多くなりました。そして一年何事もなく過ぎ私は30歳になりました。本当なら死ぬつもりの人生。そんな日にアリス様は私なんかのために自分で手作りのケーキを私にプレゼントしてくれました。誕生日なんてろくに祝ってもらったことのない私が初めてもらったそのケーキは形が少し歪で少し倒れかけていましたがその真ん中には

くろい かずとらくん 30さいおめでとう。これからもなかよくしてね。

と書いてあって…………」


スマホの画面を見せる黒井。そこには確かに歪な形のケーキとそれを持つ幼いアリス先輩がいた。


「そのケーキ、そのプレゼントのおかげで私は今ここにいられるのです。つまりアリスお嬢様は可憐で優しい…………」


「ちょっと待ってください。」


黒井の言葉に待ったをかけたのは………


「この五十嵐 忍もアリスに命を救われた人間です。オレは元々名の知れたヤンキーで名称がつく位名がしれわたっていました。そんなオレをマトモな道に戻してくれたのはアリスでした。バカなオレに基礎から勉強を教えてくれて今では学年トップクラスにまでなってます。ただ君が副会長に似合うから、そんな理由だけでオレを更正させてくれたアリスはオレにとっての女神、つまり綺麗で優美しい………」


「可憐で優しい」

「綺麗で美しい」

「可憐で優しい」

「綺麗で美しい」

「可憐で優しい」

「綺麗で美しい」


どっちも褒め言葉だししかも似たような言葉なんだけどどっちもひかないな………


「私はアリスお嬢様に救われて今ここにいます!」


「オレもアリスに救われてなければこんな場所にはいません!下手すりゃ牢獄にいたかも」


「牢獄じゃ生ぬるい。オレなら地獄にいたかもしれないですよ。」


「オレだって地獄にいましたよ。」


「オレだって」


「オレだって」


「ふ、2人とも…………あんまり喧嘩しないで………」


「喧嘩じゃありません。」

「これはディベートです。」


「喧嘩もディベートも一緒じゃ………てか私が恥ずかしいんだけど…………」


徐々に赤くなるアリスの顔。そりゃそうだよ。2人して褒めあいしてるんだもん。そりゃ照れるよね。

その後も愛のあるディベートは続きまくった。

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