第351話 小さな彼は宣言す。また引き起こされる事件の引き金を。
「つまり。進藤。お前は鬼虎さんから愛梨を奪った、いや勝ち取ったのにも関わらず半年の間何もせずうだうだうだうだあーだこーだあーだこーだ言っていたってこと。分かる?」
「……………」
進藤の顔が汗まみれになり硬直していく……
「香織。言い過ぎじゃない。もっと言って。」
あ、言い過ぎって止めるんじゃないんだ。じゃない。ってまだ言わせるんだ………
「半年間手も繋がずデートもろくにしてなかった。愛梨のおかげでキスとかセックスが出来たけど自ら何かした?何もしてないよね?」
「あ、ごめん。香織、遮って。これ言おうかどうか迷ったんだけどね………この際だから言うね?昨日久しぶりに楓からライムが来て。何気ない会話をしてたんだけど急に楓が、もう一回だけ言うわ。付き合ってくれ。ってライムしてきたの。もちろん無理だよ。って断ったんだけど楓それじゃあ納得がいかないみたいで………一回その彼氏見せろって、一回どんなヤツにオレが負けたか見るってきかなくて………だから近々楓の検査が入るから。」
進藤の顔が死んでいる。
だが晃太にも言いたいことはあった。
「進藤。お前そんなずっと呆然として昔のお前らしくないじゃん?一回気合い入れて自分は百舌鳥先輩の彼氏なんだ、ってもう一回考えてみろよ?じゃないと取られるぞ?呆然ばっかりしてる場合じゃねーよ?」
晃太が知っている進藤はちょっと一言多いけど晃太のことをからかっているちょけた男のはずだった。だがここ数日、いやここ数週間進藤の呆けた顔しか見ていない。確かに百舌鳥先輩のやってることはヤバい、ヤバいけどあまりにも自我がなくあやつり人形になりすぎている。だから。
「ホントに気合い入れ直せ?百舌鳥先輩、好きなんだろ?だから告白したんだろ?しかもお前からしたんだろ?なのに意味わかんねぇじゃねーかよ。だから、しっかりしろ!進藤!」
晃太の言葉に…………進藤は……………
「受けて………立ちます。」
「へ?」
「受けて立ちます。楓さん、でしたっけ?楓さんとの勝負うけて立ちます。そして今まで呆けた姿ですいません。これからは………徐々に彼氏らしくしていきます。あ、愛梨さん。」
「優くん!!」
あ、あ~こっちもディープしちゃった………
あれもう一方のディープのほうは?
「助けてって言ったでしょ!」
「え?幸せって言ってたんじゃないですか?」
「一文字もかすってねーよ!」
ようやく終わった1組のディープ組がそこにはいた。
「死ぬかと思ったわ!天に召されるってこういうことを言うんだね…」
「お前となら天に召されても構わないぜ?心音?」
「召されそうになった原因アンタだから!何他人事みたいに言ってんの!?」
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