第346話 白いシャツについたカレーは中々とれない

「はい!カット!皆オッケイだよ!完璧……」


「ちょっと待って。何処が?どこら辺が完璧………てかキス長い!」


「え、ちょっと………まだ30秒しか経ってないけど?」


「数えるな!てか充分長いわ!」


「あ、そうか。お仕置きか。おい。心音?拘束してまだヤるからな?」


「その設定まだ続いてるの?てかその設定にも不満あるんですけど………」


「え?なんで?」


「なんで?じゃないし。何で病院なの!」


「え、職場じゃないですか。心音さんの。」


「いや。そうだけど。いや、そうなんだけど。何あの各々の設定。」


「とっさに皆で考えました!」


「天才医者とか天才執刀医とか………私の職場そんなヤバい人いないから………」


「まぁ。でも私たち全員楽しく演技出来たので。」


「演技してたの?」


「演技というか~」

「普段の私たちを」

「そのまま投影して」

「なんとな~くやってたら」

「できた。って感じですね。」

「ブイ………」


「……………アンタらバカなのか何なのか分からないわ………マジで。」


「まぁ、とりあえず問題クリア!ですね!」

「そうだね!香織!」


「問題クリア?」


「何寝ぼけてるんですか。今したでしょ?キス。」


「…………………………………………ボフッ」


「あ。」

「真っ赤になった!」


「そう言えば………流されてしてしまった……キス………しちゃった………」


「オレとのファーストキスがこんな皆様に手伝ってもらえて感謝!感謝!だろ?」


「そんなん関係ない!キス………しちゃっって……キス………して………ボフッ!」


「そんな発火するもんか?」


「発火…………発火って言うな!いや、だって………こんな人前でしかも弟がいる目の前で………」


「晃太くん!お姉さんがテンパってるよ!」


「で?」


「ここは処置が必要だと思うんだよ!つまり!」


「つまり」


「私たちもキスすれば全て解決!」


「お前の性欲が解決。」


「その通り!」


「その通りじゃねー。お前の欲に付き合いきれるか!」


言い争う晃太、香織を見ながら黒井、そして心音は…………


「アンタさ。」

「私?」

「当たり前だろ?」

「何回も言うけど異常者なんだから異常者なんだから。」

「何回も言うね………」

「何回も言うけどって言ったからね。」

「異常者………だったのは認めるけど。」

「いや、今も異常者だから。」

「………………何でそんなこと………」

「1度ついたカレーは中々とれないでしょ?それと一緒。」

「カレーに例えるなよ………」

「俺たちはカレーだ。旨いんだ。分かる?」

「もういいわ………」

「次の競技、いや次の遊びになるかな?次の遊びでより深く心音の深層心理に入るからね。」

「はい?」

「楽しみにしててね?」


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