第340話 付き合った時間が長ければ長いほどお互いのことを知ってるなんてただの幻想だ

好きな食べ物は何でしょう!

第1問目としては当たり障りのない問題だ。


百舌鳥先輩はさっさと書いてもうペンを置いている。

一方の進藤は………


「……………」


ペンが進んでいない。とりあえず書けよ、と言いたいが間違えたら間違えた分だけ自分にダメージが返ってくるシステムだから………そう容易に書けないのだ。


「シンキングタイムは1分です。早く書いてくださいね!」


黒井さんからの圧もあり発汗男再び………


「……………っあ!」


ギリギリで書き終えた進藤はまるで神に願うように、いやアレは願ってる。確実に願っている。もう神頼みの男、進藤。


「両者書き終えましたね!ではでは答えをドン!」


黒井さんの合図で出した2人の解答は………


「百舌鳥様 酢豚パイナップル入っている方 進藤様 クレープ、ですね?」


「あ?」


進藤の答えを聞きまだ正解かどうかも分からないのに威圧をかける百舌鳥先輩。

それにビビりまくる進藤。


「ではでは両者好きな食べ物は何でしょう?」


「ぼ、僕は…………酢豚パイナップル入り」

「私はお寿司 特にサーモンが好きです。」


「ということで百舌鳥様正解、進藤様不正解で失敗!失敗です!アシスタント、何か一言。」

「私?え~と、次は頑張ろう!みたいな?」


「そうですね。次は頑張りましょうね。その頑張りがずっと続くかもしれないけども。」


冷たい目をして進藤を睨む百舌鳥の言う通り………


好きな動物は!

好きな季節は!

好きなアニメは!

嫌いな食べ物は!

好きなテレビ番組は!

海か山、デートで行くならどっち!

告白の言葉は!


連続8問不正解。会場に嫌な雰囲気が立ち込め…………当事者である進藤は汗が滝のように流れ、流れつきたのか逆に汗一つなく、百舌鳥にいたっては今にも解答のペンを折る勢いでキレていた。いや、キレていると分かるくらい貧乏揺すりやペンをコツコツとする行為が酷くなっていた。


「ねぇ………」

「何?心音?」

「ちょっと空気みたら分かるでしょ?もうこのカップルの問題解かすの止めた……」


「心音さん大丈夫ですよ。心配なさらずにこれはある意味罰みたいなモノなんですから。今まで私を放置してきた彼への罰を与えてるんです。だからどうぞ。問題続けてください。」


その百舌鳥の顔は笑っていたが目の奥が死んでいた。


「ではでは次の問題!え~最初に行ったデート場所は!」


「デート場所…………」


「あ、もしかしてデートしてないとか……それなら申し訳ない………」


「いえ。無理矢理連れていった場所でもいいんですよね?」


「はい?」


「おい。恥ずかしいとか捨てて書けよ?」


百舌鳥先輩の圧力たっぷりの言葉にすぐさまペンを動かす進藤。

そして………


「はい!せーの」



「ラブホテル!」

「……………です。」


「おぉ!答えが揃った!これは!正解です!クリア~!!アシスタント!」

「あ、え~と、揃った感想は?」


「いや、揃ってよかったですね。けどまだまだダメですね。やっぱり調教しないといけませんね。またこのコテージが終わったら考えます。」


そう言った百舌鳥の目には妖しく光るまるで紫の輝きが見えた。

またろくでもないことするんだろうな、という印でもあった。

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