第335話 ヤバさが乗り移って正常がヤバいになることがありえるんだな。

「「「「「え、付き合った!?」」」」」


「あ、はい。めでたいことに。」


「自分でめでたいことにとか言わないから……」


「あ、ごめんよ?心音。」


「ちょ、アンタこの人数の前でもそれ言うの?」


「当たり前でしょ?頭隠して尻隠さずになるじゃん?」


「それあってる?意味?」


「わからん。わからんけど大体意味は通るだろ?」


「アンタ………キャラがさっきと全く違って………」


「アンタ、アンタって心音も俺のこと和虎って呼んでくれよ?」


「は?な、なんで?」


「付き合ったんだから。」


「付き合った付き合った何回も言うな!」


「事実でしょ?」


「だとしても…………皆見てる前で……ゲッ。」


何故心音がゲッっと言ったのか。それは……

周りにいる皆の顔が生暖かい目になっていたから……………

コイツら………こういう話題好物だからな……


「ほら皆も愛のある目で見てるじゃん?」


「オモチャを見つけた子供の目だよ!」


「とりあえず和虎って言えよ?」


「なんで……」


「一回も言ってないじゃん?俺はこんなに心音って呼んでるのに。」


「呼べなんて言ってないじゃん!」


「呼ぶのが恋人としての作法、当たり前だからね?」


「そんな馬鹿な…………って………周り…うんうん。じゃないんだよ!」



「私も忍って呼んでるし。」

「私もアリス、と」

「私は優くんだね?だね~?君は私のこと百舌鳥先輩だけどね?ねっ?」

「………すいません………」

「雫………」

「乃蒼~!」

「あ、あ、あ、あ、愛人様~」



唖然とする心音。

ホントにここにいる奴らは極端だよな……

極端に…………愛にポジティブと言えるな…


「な、皆さん言ってるんだよ。ほらカモン。カモン。カモン心音!」


「……………一回言えば許してくれる?」


「何それ?許す許さないとかないから。これからずっと和虎だから。アンダースタン?」


「……………マジか…………」


小さくマジかと呟く心音。

てか考えてほしい。1日前、あんなに犬猿の仲だった2人がこんな話題で盛り上がってる。この時点で…………ヤバい。

そして、その時ヤバいほうだった心音のほうのヤバさが消えているのがより………ヤバい。ヤバさをヤバさが消したんだな………


「……………和虎………」


「え?何て?」


「和虎………」


「え?何て?」


「和虎。」


「え、何て?」


「もう!聞こえてるでしょ!和虎!」


「はい!和虎ですよ!貴女の和虎!貴女の大好きな和虎!貴女の彼氏の和虎!ですよー!」


「もう!やめて!やめて!何回も連呼しないで!」


ヤバいのって乗っとることあり得るんだ。

あ、拍手いらないと思いますけど?

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