第332話 歪な奴らの恋の大五角形

「てことで俺たちは付き合うことになりました、っと。」


「ちょっと待って!そんな簡単に決めていいの?」


「簡単?簡単に決めてないじゃん?結構話し合いして出た結果じゃん?」


「いや…………う、うん…………けど……結構急転直下だったと思うんだけど………」


「恋なんてそんなモンでしょ?」


「そうなの?」


「ハツカレでしょ?心音?」


「…………ですけど…………」


「そんな怖い顔しないの?スマイルスマイル!初めて大歓迎だから。」


「何か嫌な歓迎…………」


「バージンを奪うのが楽しいんじゃん?」


「最低………」


「ヤリモクだけじゃないぞ?初デート初手つなぎ初キス…………付き合ったら色んな初があるんだから!」


「分かった!分かった!分かったから……もう少し小さい声で喋ってよ!」


「何で?」


「何でって………他の人にバレたら嫌だから………」


「は?」


「え?」


「え、他の人に言わないつもり?」


「あ、当たり前でしょ!そんな恥ずかしいこと………」


「あ、隠れてこそこそするスリリングがいいの?」


「違う!そんなスリリング求めてない!私はただ誰にも言わずにこの事をおさめたいの!」


「え~ムリだよ?絶対。かなり宣言したよ?心音?」


「そ、それでも………隠し通す………いや、返事はまだ早いからもう少ししてから、みたいな感じにすればいいんだよ!」


「結局答えは出てんのに?」


「うっ………」


「それなのに?」


「だ、だ、大体今この現状を見て!誰もいないでしょ?ならまだ何とかな」





ガシッ。


「おい。馬鹿2匹何処に行く気だ?」


「この屋上に颯爽と現れようと!」


「怪盗………みたいに………」


「話聞いてたか?」


「うん!」


「ばっちり………ぶい………」


「なら何で出る?」


「楽しそうだから!」


「荒らせる………」


「お前らの一身上の都合で話をややこしくするな!」


楽しい、荒らせる、じゃないし!


「姉のコイバナ聞いてるだけでも結構カロリー高かったのにその上登場はあり得ないから」


「カロリーとっていこうぜ!」


「カロリー………ムシャムシャ………」


「お前らの意見は全く通さない。だから早くこっちにこ」


「止めたところで声という手段があるから、せーの………むにゃむにゃ」


「むにゃむにゃ………」


「言わせないからな………」


必死に止める晃太。これ以上のカオスはごめんだ。だからすぐにでもここからさよならして………



「こーちゃん?」

「晃太様?」

「へ?」



真っ直ぐこちらを見つめる2人の目。

え、何でバレた?


「徐々に引きずってくる作戦成功したね!」


「成功………成功………大成功………」


「お前ら……………」



「はい!自己紹介します!幸山 雫!さっきから話が始まるところからいました!」


「はい…………南 乃蒼………ずっと………いたよ?」


あ~最低。最低の五角形出来た…………

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