第331話 エンジンかかりすぎたらエンスト。でもエンストのギリ手前ぐらいが一番スリリング。

「良いこと言うね。お姉さま。意外と頭いいんだね!」


「後ろ向きでは歩けない…………人生………前だけ見て歩け………素晴らしい言葉……」


「お前らうちの姉を馬鹿にしてんのか?それとも遊んでんのか?どっちだ?」


「どっちでもないよ~。」


「普通に素晴らしいと思って…………」


「あっそ…………てか今キャ!って声が聞こえたような………え?」


「何何?」

「どうしたの…………?」

「……………」


「「「……………え?」」」









心音は全てさらけ出した。自分の思い自分の価値観自分の恋心を。だからこれでフラれても別に構わないと思っていた……………

が。


「黒井?な、な、何してんの?キャ!ま、ま、ま、マジで何を………」


「和虎。」


「へ?」


「和虎でいいよ。心音。」


「ちょっと待って!ちょっと待って!アンタいきなりな、何………」


全てをさらけ出した心音に黒井は………

思いっきり抱きついた。ゼロ距離で抱きついた。


「え、え、え、え?」


理解が追い付かない心音。


「どうする?」


「どうする?どうするって?」


「これから行く?」


「何処に?」


「ベッドに。」


「え、ちょっと待って!」


「何何?待つよ?」


「え?何?ヤるの?」


「キスはしたいかな。」


「…………え、え、ちょっと待って。」


「待つよーん。」


「待つよーんって………あの………ホントに黒井?キャラがおかしく………」


「大丈夫大丈夫。もう恋人の前だとこれだから。」


「こ、こ、こ、恋人?」


「え?嫌なの?」


「嫌な訳じゃないけど…………いきなり…」


「心音の言葉しみたわ。あんなに強く熱弁してくれるなんて。俺めっちゃ嬉しい!」


「あ、う、うん…………黒井………ホントに口から出る言葉がチャラく………」


「ホントはこっちだからな?あ、嫌だった?」


「え、いや、嫌な訳じゃないけど………」


「心音~!」


「キャ!」


「何だよ?」


「いきなりキスしようとしないで?」


「恋人同士なんだからいいじゃん?」


「え、いや、そりゃ、そうだけど………」


「何?キスしたくない訳?」


「そ、そうじゃないけど…………」


「じゃあしよっ?」


「キャ!いや!その!シチュエーションがあるじゃん!キスの!」


「シチュエーションあるの?」


「い、一応は…………」


「ならベッド行こうよ。ベッドでしよう?」


「そ、それは私のシチュエーションに入ってない!」


「もしかして心音。処女?」


ビクッとなる心音。

それを見て何故かにやける黒井。


「バージンなら言ってよ?俺がはじめてになってやるよ。」


「ちょ、まだそれは早い!」


「弟とはすぐに性行為しようとしてたのに?」


「うっ………」


返す言葉無し。


「まぁ、いいや。ちょっと背伸びして?」


「背伸び?何で?」


「とりあえず………してよ?」


「うっ…………これでい」


背伸びした心音の額にそして首に赤いキスマークをつけた黒井。


「今はこれで満足でいいや。後でヤろう?」




黒井さん………エンジンかかるとヤバい人だったんだな………

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