第329話 愛する権利と愛される権利

「言ったぁ………………」


「すごい!パチパチ!」


「音鳴らすなよ?」


「大丈夫。口でパチパチだから!」


「意味わからん………」


「さて……………運命の答えは……………」


「お前は何CM跨ぎのナレーションみたいなことしてんだよ?」









い、い、言っちゃったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

私言ったぁぁぁぁぁぁ、機械のミスということに出来ないくらいの勢いで……

言っちゃったぁぁぁぁぁ!

どうしよう!今から誤魔化す?いや、誤魔化せないし…………逃げる?逃げる?逃げる?逃げよう!


「逃がしませんよ。」


「ちょ、離してよ!」


「お話しましょ。」


「したくない!したくない!てかした!」


「今心音がしたのはただの宣言ですよ。会話になってません。」


「アンタ………何が目的………?」


「はい?」


「さっきから私をいじめるようなことばかり………何?何がしたいわけ?」


「………いじめてるつもりはなかったんですが…………そうですか…………私の行動にも一貫性がなかったと。なるほど。ならば…しっかり話を合わせましょうか。」


「はい?」


「心音が腹割って話してくれたので話します。」


「え、う、うん………」


「実は私、30で死ぬという目的のままここまで生きてきたのであまり今現状目標というモノがないんですよね?」


「目標?」


「40も近くなりアリス様も忍様という婿を手にしました。そんな時に言われたんです。アリス様に。」


「な、なんて………?」


「黒井も好きな人つくれば?と」


「…………………」


「まぁ言われた時はビックリしました。こんな社会不適合者な私が好きな人をつくれ、と。」


「社会不適合者って…………言い過ぎじゃ……」


「血に汚れた手は一度汚れたら一生消えません。一度抱いた女の数は増えるだけで減りはしません。汚いことして生きてきたので当たり前です。」


「………………」


「そんな毎日を過ごす中心音が現れた。」


「………………」


「ピッキングしてコテージに入りお風呂に入るという異常行動を働く異常者だと初めは思いました。」


「…………すいません。」


「しかも来た理由が自分の弟と恋を進展させるため。コイツは相当ヤバい、と私は思いました。」


「…………ホントにすいません。」


「けど時間が過ぎる度に貴女のいいとこも見えてきた。」


「へ?」


「料理は適当に見えてしっかりとした分量でしていた、掃除もしっかりと綺麗にしていた。きっちりとした人だとわかった。ただ頭の使い方が悪いだけで変な人じゃないことは理解できました。」


「…………それ、褒めてる?」


「そしてあの肝試し。あの時実は可愛いと久しぶりに女性に感じていたんですよ。」


「え………え~!」


「だけど、その気持ちは押し殺して無しにしました。」


「何で?」


「私には人を愛していいという感情をもっちゃいけないと思っていたので。」


「黒井…………」


「血に汚れた手、女で汚れた手、少年院帰りで体に無数のタトゥー。こんな人間誰が愛してくれますか?」


「……………」


「心音。こんな私でも愛して……くれますか?」

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