第313話 ツッコミ役は大変だ

「時に皆様………まだ来ていない方がいらっしゃるようですが。」


「乃蒼様と雫様ですね。貴女。」


「そうね。アンタ。」


あ、ちゃんと守ってアンタと貴女で話してる。姉が青春してるっ!


「現在の時刻は7時10分。少しの遅れなら仕方ないですね。なので皆さん先に食べましょう。皆さんジュースの準備をするので飲みたいものを言ってください。」


「ブドウジュース」

「じゃあオレンジジュースで」

「緑茶」

「ジャスミンティー」

「……烏龍茶」

「コーヒー!お願いします!」


「分かりました。くろ………ゴホン!アンタは何を飲みたい?」


「私もコーヒーですかね。」


「微糖?」


「いや、無糖で結構です。」


「そ、そう。じゃあ、よ、用意するわ」


「1人だと難しいですよ?私も手伝います。」


「いや、私がしてあげた………じゃない。私がするから大丈夫………」


「2本の手より4本の手ですから。一緒にやりますよ。」


「わ、わかった………わよ………でもコーヒー無糖は私がつくるから!」


晃太は前で繰り広げられる会話を見て少し寒気を感じた。身内のラブコメ見るのは見るに耐えないな……と。改めて思った。

他の奴らは…………温かい目で見てる。アリス先輩以外。余計なことしないでくれと頼んでもするのがこいつらだよな………




「うん!美味しい!この味付け黒井じゃない!心音さんですか?」


「はい。お口にあい光栄です。」


「コーヒーも自分で作れるし料理も出来る………心音さん、私の家で執事しません?」


「え?執事?」


「黒井1人だと黒井も大変ですから。」


「それってくろ、じゃない。あの人と一緒にいられるってことですか?」


「まぁ、いる時間は増えますね?あ、お賃金は今の職場の倍………」


「やりたいです!やらせてください!」


おい。おい。姉が先輩の執事になったのだが?


「ホントに?嬉しい!」


「私も嬉しいです!」


オレンジジュースを飲みながらスゲーものを見てるな………と思う晃太。

そんな簡単に人生のレール替えていいのか?


「恋はノンストップだからね!」


「だから心読むな。」








「来ませんね………もう8時になるというのに………」


「乃蒼様と雫様、何かあったのでしょうか?」


「見に行きましょうか。」


「誰が行きます?」


「やはり同性の方が。」


「いや、一番しっかりしていてツッコミ処理が出来る人がいくべきでは?」


「そうですね」


うん?ツッコミ処理の出来る人?


「じゃあ全員で指差そ。せーの。ほい。」


「……………おい!お前ら全員俺じゃねーか!」


「晃太くんなら処理できそうだから」


「何に期待してるんですか?」


「晃太様なら昨日の乃蒼様も分かりますし」


「分かるから行きたくないんですけど?」


「大丈夫!行ってきて!なんか大丈夫な気がする!」


「それは何の理屈で?」


「いや、ただの勘。」


「…………もういいや。いってきます。」



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