第308話 認めたくないその治せない病の名。

「私が呼んだのに遅くくるとはいい度胸ね?」


「いや、急に来いって言われても準備がありますし。」


「それをほってくるくらいアンタにはできないの?あ、アンタって言っちゃったぁ……いや。言ってもいいんだ。言ってもいいんだ。」


「晃太様の体を治してましたし。」


「それをほってくる………いや、こーちゃん!こーちゃん!は大事!こーちゃん!は大事!だけどぉ。私が待ってるのは心細い………って何言ってるの!私!」


「はぁ、とりあえず部屋には来ましたので要件早く済まして寝ましょう。」


「な、何よ。私といるのが退屈?そんなに退屈?」


「時間。もう2時です。早く寝ないとお肌にトラブル出ますよ?」


「え。アンタ………私の心配して………」


「当たり前でしょう?女子は守るべき存在ですから。」


「うっくぅ…………」


胸を押さえながら息を荒くする心音。


「大丈夫ですか?」


「大丈夫。大丈夫だから。」


「体調が悪そうですが?」


「体調は悪くない………この胸の痛みも大体分かる………けど………けど………けど!認めたくない!」


「認めたくない?」


「とりあえずく、黒井は私の話を聞いたらいいの!」


「あら。黒井と呼んでくださるんですか?」


「あ~!呼ぶわよ!アンタ……じゃない。黒井って!だから黒井も私のこと、心音って………」


「いいんですか?しかも下の名前で?」


「いいから!気が変わらないうちに!んで皆の前では普通にアンタって呼ぶからアンタも貴女って呼んだら………」


「ちょっと待ってください。何故変えるんですか?皆様の前でも言えばいいのに?」


「へ、変化があったら何かあったと思われるでしょ?」


「何か?何かとは何ですか?詳しく………」


「うるさい!とりあえず従え~!」


「分かりましたよ…………2人きりの時だけ言えばいいんですね?」


「2人きり………うっくっ………」


「また心臓?を押さえて………どうしたんですか?ホントに」


「アンタのせいよ!」


「私?私何もしてないですが?」


息を整え何とか元に戻す心音。


「と、とりあえず部屋に呼んだ理由はこれが1つ………」


「じゃあ帰ってもいいんですね?」


「違う!違う!まだまだ!まだ重要なことが残ってるから!」


「重要なこと?」


すぅ~っと息を吸い吐いて呼吸を整えた心音は、


「私の質問に答えなさい!私の質問に1から10までしっかりきっちり嘘なくばっちり答えなさい!それが出来なければく、く、黒井はこ、この部屋からに、逃がさないから!しっかり答えてよ!私の、私の………人生が思いっきりひっくり返るかもしれないんだから!」

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