第305話 ブラコンが堕ちた日。

「カエル!ヘビ!めちゃくちゃいる!ヤダ!ヤダ!ヤダ!ヤダ!」


「ちょっと落ち着いてください。」


「落ち着いていられる訳ないでしょ!無理だし!無理だし!無理だし!」


「ダメだ………冷静さにかけている。別ルートでいきましょ?」


「ダメ…………」


「何がダメなんですか?」


「腰抜けて立てない………動けない………」


「腰抜かしたんですか?ホントですか?」


「な、な、何よ!ば、バカにしてるつもり?バカにしても何もでな………いやぁぁぁぁぁ!」


「なんですか?」


「カエルが、ヘビがこっちに来る…………あっちいけ!あっちいけ!あっちいけ!」


心音の言葉が逆効果なのか段々近づいてくるカエルとヘビの集団…………


「やめて!いや!無理!ヤダ!嫌い!助け」


語彙力が無くなりボロボロになった彼女をひょいと持ち上げ背中に乗せる、黒井。


「失礼します。」


「ちょっとアンタ何して………」


「一応ペアなんですから助けられるところは助けようかと。」


「何して…………」


「何っておぶっているんです。貴女をおぶっているんですよ。貴女は晃太様以外の男子が嫌い、女子も嫌いと言っていましたが少しは我慢してください。少しは助け合いましょう。それでクリアしましょ。」


「……………ちょ、アンタ…………」


黒井さんの強靭な脚によりカエルとヘビはすぐさま消え去った。


「このまま真っ直ぐ行けばお地蔵様です。饅頭を置いてサッと帰りましょう。」


「……………ちょ、いや、アンタ………そんな走って………私重いでしょ?ゆっくり歩けば…………」


「重い?物理的にですか?物理的には全く重くないですね。感情論は重いですが。」


「………………」





え、何コイツ急におぶったりして………私に触るなんて100年早………いや、違う。私を助けてくれたんだ。腰が抜けた私を………しかも重くないとか………嘘つけよ………私Jカップあるんだぞ?重いに決まってるじゃん?けどコイツの体意外とゴツゴツしてて男らし………

いやいや!何言ってるの!私!男らしさとか感じるのは1人だけでいいんだよ!1人だけで!こーちゃんだけで!こーちゃんだけで……


「心音さん?心音さん?」


「あ、は、は、は、はい?」


「聞こえてますか?」


「え、あぁ聞こえてますよ?」


「じゃあ目の前のお地蔵様に饅頭を捧げてください。」


「え?」


え、もうついたの?早くない?どんな脚してんの?


「ほら早く。」


「あ、う、うん…………」


言われるがまま饅頭を置く心音。


「はい。よく出来ました。」


心音の頭をポンポンっと叩く黒井。そして白い歯を見せ笑う。


「………あ、触ったらダメでしたよね?すいませんね。はらっといてくださ」


「いや、いい…………大丈夫…………」


ヤバイ。

ヤバイ。

どうしよう。

どうしたらいいんだろ。

私、この男にキュンときてる。


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