第300話 人生変えていくのに必要なのは勇気と運と誰かの後押し

「アンタ雫のこと好きなんでしょ?」


「好き?………好き?………好き?」


「え?」


迷ってる?さっきまで愛してるだの何だの言ってたのに…………迷ってる?


「ただ………私は………雫を……取られたくなくて………誰にも渡したくなくて………」


「それが好きって気持ちでしょ。」


「…………ただ………私は………笑顔の雫が見たくて………それを私のモノだけ………私だけに向けて欲しくて…………」


「だからそれが好き、でしょ。」


「………………………いや、違う!」


「何で?」


「私たちの………始まりは………性行為からだから………」


「だから何?それが何?」


「それが何………って………」


「そんなこといったら私たちも性行為からだけど!ね!晃太くん!」


「堂々と胸を張るな。」


張るべき内容じゃないから。


「…………え、いや………私は……雫のセフレで………親友で…………え、そんな肩書きで………」


「肩書きとかどうでも良くない?」


「え?」


「好きになったら好き。この思いは変えれないんだから。」


「……………けど…………私たちは同性で………」


「同性だから何?」


「……………へ?」


「好きになった相手が女だったらやめてしまうの?それくらいの気持ちなの?好きになった相手が動物だったらやめてしまうの?好きになった相手がおっさんだったらやめてしまうの?好きになった相手が悪魔や天使だったらやめてしまうの?アンタの気持ちってそんなモノ?」


「…………………でも……………」


「まずさ。アンタはさ。斧を置くべきだよ。」


「な、あ、アンタに何がわか………」


「先輩だから。」


「え?」


「私はアンタの恋愛の先輩で人生の先輩だから。分かる?しっかりと相手もゲットしてるし。ね?」


「ね?じゃねーよ。」


「けど…………私は…………私には……」


「アンタ1回も言ったことないでしょ?雫に、好きだって。」


「す、す、好きだって…………始まりの時に言っ」


「それは性的に好きだって言っただけでしょ?結局性欲でしか見られてないと雫は思ってるよ。だから逃げて違う男に行くんだよ。」


「………………」


「だから、その斧を置け。」


「………………」


香織の言葉にまるで催眠術でもかかったように斧を………手から、カランカランっと落とす乃蒼。


「1回やってみろ。1回言ってみろ。お前の人生脇役ばっかでいいのかよ?主人公になってみろよ!告白することがそんな怖いか?人を殺すほうが怖いだろう?だから当たって砕けろじゃないけど1回自分から当たってみろ!お前はずっと裏役ばっかりなんだよ。だからやってみろ。告白してみろ。それでお前の人生変えてみせろ!」


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