第298話 手持ちではなく草むらから飛び出たアイテムで助かる命がある。
「うわぁぁ!」
「大の大人が逃げるのは往生際が悪い……ここは………大人しく………死ね………」
「大の大人とか関係ないからっ!死を迎えることを往生際もクソもないだろ!」
「まぁ…………いい…………とりあえず…足から切り落とす………」
「ホントに勘弁してくれ………頼む。」
「足から切り落とすことで…………逃げれなくなる…………」
「極悪人の考え方じゃねーかよ!待て!待て!交渉しよう!」
「こーしょ…………?」
「そう。交渉。俺はまずこれから雫さんに一歩たりとも近づかないし喋りもしない!」
「そんなこと………無理でしょ?………」
「無理かどうかは………」
「雫から………喋りかけてくるのに………それも無視………?気分………悪い…………」
「でも話かけるよりはマシだろ?」
「雫が………可哀想…………耐えれない…」
「耐えてくれよ!」
「やっぱり……ここで消えることが………一番。だから………殺る…………」
「待て!お前、殺る殺るって言うけどその後どうすんだよ!」
「どうする?…………」
「お前が俺を殺したことは誰が見ても分かる事実じゃねーか。お前は雫のために罪を犯すのかよ?」
「……………?何言ってるの?貴方を殺したのは私じゃないよ。」
「は?」
「こんな………暗い………夜道………突然現れた熊…………それに襲われて…………晃太さん…………君は死ぬ………いや、死んだ。ボロボロになってもし死体が………見つかっても…………私が殺った証拠は……ない。」
「………………」
コイツ自分しか見てないからその理屈で晃太が熊に襲われて運悪く死んだ、という絵図を思い浮かべている。
「八つ裂きにされても………熊に………食われたから……ってなる………完璧。」
「完璧じゃねーよ!おーい!誰か!助けてくれー!」
山びこのように響く声は虚しく消える。
「無駄……………私がしっかりとどの道に行っても合流するまで最低でも30分はかかるように………してる………から…………無理だよ………」
30分。そんなにかかる距離で助けにくる確率はゼロに近い。
「さ…………もう終わらそ…………?十分………喋った……………」
「死ぬってなって十分もねーよ!」
「とりあえず………もう話すことはない…」
斧を思いっきり振りかざす。
「あの世で…………楽しく…………暮らしとけば………?」
脳天に向かって落ちてくるその斧。もう何もアイテムもない。何にもない。奇跡は1度しか起きないから奇跡なんだろ………?
クソっ………こんなとこでくたばって………しまうのか………オレは。
バキっ。
斧が何かを割った音。
いや、違う。
斧が何かと交わった音……………
「あぁあぁ……………スマホバキバキ………まぁ予備携帯で本物はコテージにあるんだけど。じゃないとバックアップしたヤツ全部消えるじゃん?私と 晃太くんのラブラブ写真が。」
「か、か、か、香織ぃぃ!」
「助けにきたよ!ダーリン!」
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