第296話 誰が悪いか恋の女神が悪いのか

「したのか…………?」


「…………したよ。何度も。何回も。」


しかも彼女の回答は何度も、複数回したという回答だった。

え、ちょっと待って。頭が混乱する。


「雫………さんと乃蒼………さんの」


1学年下だが今そんなこと関係ない。

強者には従うべきなのだから。


「関係って今…………」


「…………セフレ………兼……親友?」


「いや、首傾げられても困るんですけど……」


知らないし。そんな情報を。


「え。雫さんは貴女とのその関係を持っていながら俺に彼女!とか言ってきたのかよ…」


どういうメンタルしてるんだよ。アイツ。


「私は………雫と………体で………結ばれた時………この人は………もう私のモノなんだ………って思った。思ってた。のに……」


斧をこちらに向けてくる乃蒼。


「アンタが………全て………壊した。私の未来を………全て壊した………」


「ちょっと待ってくれよ!俺は何にもしてないじゃん?雫………さんが勝手に俺に惚れただけで………」


「自慢をするなぁぁぁ!」


「あぶねぇ!自慢じゃねーよ!ホントのことだろ!高校入ってからは雫……さんには彼氏はいなかったんだろ?」


「もちろん………」


「彼女も………」


「もちろん………」


アイツ、バイだったのかよ。改めてびっくりなんだけど?


「そんな雫……さんが俺に出会ったから変わってしまった、とそう言いたいんだろ?」


「…………」


無言で頷く乃蒼。


「そんなこと言われても…………」


晃太に非は全くないよな?この話。この事件。それに。


「俺はまず断ってるはずだけど?その時点で別によくないか………」


「良くない!!」


「ぐわぁっ!」


腹に一発入った。最悪だ。


「何で………断る?………あんな………美少女………断る。許さない………」


「な、な、なんだよ…………断らずに付き合ってればこんな凶行にはでなかったのか?」


「いや………付き合ってても邪魔だから…殺してた…………」


「どっち道………詰んでるのかよ…………」


八方塞がりだった。逃げ道無し。


「私としては………付き合って………その後………いつものようにすることが大事だと思ってた………けど、アンタは………違う。他の女も………いっぱいいる………今までにない存在………一番チャラい………存在。だから………徹底的に………殺す………完膚なきまでに殺す………」


チャラいって………望んでチャラくなってねーけどな………譲れるなら譲りたいし………


「雫につく………悪い………虫は………私が………殺す………」


ヤバイ………斧が脳天に向けて落ちてくる……避けないと………でも力が………何か………何か…………あ。


「死ね…………っあ?」


斧を振りかざした乃蒼の顔面に炭酸飲料の空が。少しの残り水が顔にかかる………


「っ………あ………………」


一瞬目を瞑った瞬間にその場から晃太の姿は消えていた………


「アイツ…………殺す………絶対に……殺す………」


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