第290話 キチキチではなくチキチキ第1回って1回しかないだろ。

「キチキチ…………」


「乃蒼。キチキチじゃなくてチキチキだよ。多分」


「雫…………こりゃしつれぇ………では…

チキチキ………第1回………胆試し………」


何とも締まりのない呼び掛けである。

乃蒼もいぇーいって言ってるけどほとんど無表情のいぇーいは不気味で盛り上がりにかける。


「いぇーい………盛り上がってる………?アリーナー………?」


「おい。ふざけんなよ。クソノッポ。」


心音が乃蒼の服を掴む。ホントは胸ぐらを掴みたかったんだろうけど乃蒼が身長が高いうえに今ヒールを履いているため約180近くになっているため胸ぐらが掴めない状態だから仕方ない。


「何だよ?勝手に呼び出しやがって。しかも全員。」


心音の言う通り全員がコテージの前に集合していた。黒井さんもいる。


「あの………乃蒼様?私も参加してもいいんですか?」


「イヤ?」


「イヤではなく。私は執事であり皆様の安全を守る存在で………」


「ひとりぼっち………は………寂しい……だから………入って………」


「あ、はい。ありがたいお言葉です。では。」


何処までも黒井さんはきっちりした人だな…

ホントに過去が何だよ?って思うわ。


「これで全員………全部で………11。これから………胆試し……する。ルールは簡単…近くにあるお地蔵様に…この………饅頭を置くこと………ちなみに…手作り………食べないでね?」


「誰が食うか。クソノッポのヤツとか。」


「チームは………11人だから………2人が4組。3人が1組………。」


「じゃあ私はこーくんと。」

「こーちゃんだね。」

「愛人様と。」

「忍!」

「ゆ~う~くん!」


全員が獲物を見つめる中………乃蒼は………


「ダメ………」


「ダメってなんだよ?」

「ダメって何?」

「ダメとは?」

「ダメってどういうこと?乃蒼ちゃん?」

「ゆ~う~くん!」


「私………お手製………くじ箱。この中に名前が………書いてある………その人とペア、またはトリオ………」


「は?」

「あ?」

「へ?」

「え?」

「ゆ~う~くん!」


百舌鳥先輩聞いてます?


「つまりは運任せってことかよ!?」


「ガッテン………」


「ふざけんなよ!」


「ふざけてない………」


「私はこーちゃん以外としたくないんだよ!」


「じゃあ………社くん………引けばいい…」


「う。」


「皆………仲良くできるように………私考えた………だから………悲しい………えんえん………」


「嘘泣きやめろ!クソ女!」


「まぁ。待ってくださいよ。心音さん。」


アリス先輩が抑えに入る。


「乃蒼ちゃんも考えて考えて考えた結果がこれだったんですよ?だから1回のってあげましょ?」


「何でお前に言われる筋合いが……」


「なら警察に電話ですからね。24時間対応してますから。日本は。」


「………チッ。」


ホントに心音は最初の行いが全て首を絞めている。


「では………くじ引き………スタート……」


「私から!」

「いや私から!」

「いやいや私から!」

「残り物には福があるからね。」


「………てかアリス先輩。」


「うん?」


「お地蔵様って1ヵ所ですか?」


「いや、いっぱいあるからバラバラになるんじゃない?」


「つまりペアになった人と完全孤立な訳ですね………」


う~ん。ペアよりトリオがいいなと思う晃太だった。


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