第284話 ヤンキーと半犯罪者の競合

「そして。今に至ります。」



風呂に入りながら喋ればよかったのに露天風呂のタイルの上で正座しながら喋る必要はなかったのでは?と晃太は思いながら聞いていた。そして、タトゥーまみれの人が土下座している姿は何だかシュールだな、と思った。

だが。


「黒井さんにそんな過去が………」

「アリスは凄いな………」

「そうなんです!アリスお嬢様は凄い方なんです!」


おぉ………いきなりビビるわ。


「アリスお嬢様はこんな泥まみれになった人間を生かしてくださってそして更正させてくれた素晴らしい方なんです!素晴らしい、素晴らしい、素晴らしい!あんな人間はいらっしゃらないと思います!」


「あぁ………はい。」


黒井さんの圧が強いな………圧がドォンってくる。痛みは無いけど何か圧から疲労が溜まりそう。


「そんなアリスお嬢様がつくられた彼氏。忍様。いや、忍と呼ばせてください。今だけ。忍、アリスお嬢様を宜しくお願いします。」


頭をタイルに擦りつけるように下げる、土下座をする黒井さん。


「黒井さん。土下座までしなくて」


晃太の言葉を遮り今まで風呂につかっていた忍先輩が動き出す。そして。


「黒井さん。アリスから聞いてるかどうか分かりませんが、オレもアリスに人生を救われた人間なんです。」


「同じ………という意味で?」


「はい。アリス言ってないだろうけどオレ元々街一の悪ガキ、いやヤンキーで」


「聞いてます。大変暴れたそうですね。」


「恥ずかしいことに。」


「いえいえ。私に比べれば大したことありません。」


2人とも元々ヤンキー出身だもんな………

いや、黒井さんはヤンキーで固めてもヤンキーでまとめて考えてもいいのだろうか?

黒井さん、少年院まで行ってるし。


「だから黒井さんの話共感を勝手にしていました。話に相槌しっぱなしでした。」


「そうですか。それはありがたい。」


ありがたいか?


「だからここで1つ宣言します。」


忍先輩も正座をしそして………


「オレがアリスを守ります。命に代えても命に代えて守ります。だから安心してください!」


土下座をしながらそういった。


「忍………大丈夫です。貴方なら守れると思います。」


「ですがオレ1人では頼りないかもしれません。ですので、黒井さん。貴方にも助けてほしい。今までどうりアリスのボディガードよろしくお願いします。」


「何を言ってるんですか。私はボディガードをやめる気はないですよ。これからは2人で頑張って守ろう、そう言ってるだけですよ。」


「黒井さん………」


「忍様………共に大切な人を守りましょう!」


「当たり前です!」


ガシッと手を握り締める忍先輩と黒井さん。

元伝説のヤンキーと元半分犯罪者のボディガード。

逆に誘拐とかアリス先輩がされたら………

犯人………体半分になるな。

いや、半分で済むかな?ぐちゃぐちゃのミンチになるかもな………マジで。

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