第283話 貴女のその言葉に自分の人生をベットしてやるよ
「ボディガード?」
「ほでぇがーど!それ!」
「1回も言えてないけど?」
別にいいけど。
「何でお前みたいなクソガキにボディガードがいるんだよ。普通のガキだろ。」
「ふつうのじゃないよ。わたしはふつうじゃない。とくべつだ。とくべつかわいい。っておじぃちゃんいってたよ?」
「孫好きなただのジジィだろうが。」
「そこでおじぃちゃんがそのほでぇ」
「ボディガード」
「それ。それをつけようっていったの。それでつよいひとさがしてたの。そしたらくろいおにぃさんがいた。」
「断る。大体何でテメェみたいなガキのお守りしないといけないんだよ?」
「じまんだけど」
「普通そこは自慢じゃないけどって言うんだよ。」
「わたしのおじぃちゃんおおくおかねもってるからじゃらじゃらちゃりんちゃりんなんだよ?」
「だからなんだよ?」
「だからわたしがゆうかい?とかされないかしんぱいなんだって。」
「あー、なるほど。理解したわ。」
コイツ金持ちの孫なのか。だから金目的に誘拐とかされないか心配だと。そう言いたいんだな。あー理解。理解。理解したうえで。
「断る。」
「えーなんでー!おにぃさんつよいじゃん!」
「ガキのお守りは懲り懲りだし大体オレはもうじき死ぬ………あ。」
あ、こんなガキに何話してんだ…………
「もうしんじゃうの?おにぃさん。びょうき?」
「いや、病気とかじゃない。」
「ならなんで?」
「何でって………」
こんなガキにどう説明すれば………
「とりあえず死にたいから死ぬんだよ。それだけだよ。」
「それだけ?」
「それだけだよ。」
「え、つまらないよ。」
このクソガキ。真顔で………
「おにぃさん。なんさい?」
「29だよ。」
「おじぃちゃんもっともっとうえだよ!だけどげんきだよ!」
「だから?」
「おにぃさんもいきれるよ!がんばろ!」
「いや、頑張るとかじゃなくてだな……オレは死にたいから………」
「しにたいならうってつけじゃん!ほでぇがーど!ほでぇがーどはからだつかってまもるひとなんでしょ?べつにほでぇがーどがしんでもかまわないっておじぃちゃんいってたよ?」
「ろくでもないジジィだな………」
「でもわたしはしんでほしくない。なかよくしたい。くろいおにぃさんと。だからなろ?ほでぇがーど。」
「……………」
キラキラした目でこちらを見るな。汚れきった自分が惨めになる。
「………オレは無理だ。お前のボディガードとかふさわしくない。オレは汚れてるから。」
「よごれてる?だったらてをあらえばいいよ?」
「手を洗うだけじゃ無理なくらい汚いんだよ。」
「ならおふろにはいればいいよ!わたしのいえのふろはでかいよ!きれいになるよ!」
「だからそういう意味じゃなくて………」
「ずっときたないひとなんていないんだよ?きれいにできるのがにんげんさんだよ?」
「…………っ。」
「だからいっしょにいこ?おにぃさん。なにかかわるかも!すくなくともわたしはかわるから!」
「……………」
この時この瞬間一瞬だけほんの一瞬だけこのクソガキの言葉を信じてみたくなった。信じたくなった。そんな変な自分が出てきてしまったのだ。
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