第280話 無責任に無頓着に。そして馬鹿で自由に。

日本という国は馬鹿である。本当に馬鹿で馬鹿で馬鹿でしかないと思う?

だって未成年は犯罪をしても軽いのだから。

年齢詐称をしていたこともすぐバレ中学生だと気づかれた黒井はまず傷害の罪を、暴行の罪を犯したことを言われた。が、黒井にかけられた刑は保護観察という名の放置だった。

何故か。それは殴られた人達が自分達が悪いと警察に直訴したからであった。

骨が折れ血を流した者達が何故そんなヤツを庇うのか。それは自分達が黒井にしてきた数々の嫌がらせ、所謂いじめが脳裏に浮かびこのままこの男を罵詈雑言吐き捨てればまた殴りにくる。また襲ってくる。そう考え怯えたからであった。だから黒井はほぼ無罪同然で警察署を後にした。

その日は秋風が寒い日だった。



その後黒井はまた年齢を詐称して働くこととなった。だが性に合わないのかどんな仕事も長くは続かず長くて半年が限界だった。

親からは完全に縁を切られ頼れる知人もいない黒井はともかくやるしかなかった。

生きていくためにはやるしかなかった。

だが、


「よ~よ~?黒井くん。だっけ?」


こうやって絡まれることが多くなった。

それは好戦的なヤツだったりただただ目立っているのが腹立つヤツだったりただの呑んだくれだったり仲間に取り入れたいヤツだったり種々様々だが何処に行ってもそんかヤツらに絡まれる日々が続いた。

それを蹴っては殴って殴っては捨てて。

それを繰り返す毎日だった。

またそれでストレスを溜めそのストレスの分だけタトゥーを彫っていった。それが5個、10個、20個と増えていき体はタトゥーだらけとなった。だが黒井は馬鹿だからタトゥーは1種類だけがいいものと勝手に納得し体は鎖のタトゥーだらけの鎖まみれ人間となった。



18の冬。

普通の道を進めば高校卒業のその時。

黒井は1つ決めたことがあった。

少年法がきれ犯罪をすれば罰を与えられる存在となった18。これからはむやみやたらに喧嘩は出来ない。

だから黒井は決めた。


俺は30で死のう。

だから30まで滅茶苦茶に生きてやろう。

仕事も適当にヤりたいことだけやろう。

やりたくないことがあったらほっておこう。

そうやって無責任に生きていこう。それが一番いい。中学生で人生を一度壊されたモノを再生とまではいかないが再生出来るように残る12年で人生を謳歌しようと、そう心に決めたのだった。

そう決めた黒井は貯めた資金を持って都会へ今までいたド田舎から誰も知らない、自分を誰も知らない地に向かって歩みを進めた。

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