第279話 血まみれになると生きてると実感できる。

10年前。

黒井 29歳の冬だった。


雪の上に広がるのは血。血。血。血。そして人間、人間、人間、人間。

はぁ、と息を吐くと白い。

寒い。だが立つ気力もない。てかまず生きる気力がない。



黒井がグレたのは中学のいじめからだった。中学で馬鹿にされそれを見てみぬされる毎日だった。

そのストレスを、はじめはピアスで埋めていた。安全ピンで血まみれになりながら刺して刺して刺して刺す。垂れ流れる血を見て、気が飛びそうなくらいの痛みが生きてるって感覚を感じた。

黒井の親はいわゆる毒親と言われる親でいじめとか自分たちが惨めになるから止めてくれ。生きて行け、行かないなら死ね。そう言われてそう言われていた。

そのストレスも重なりピアスは日に日に多くなった。だが開けすぎた結果もう開ける場所が無くなった。

それと同時に………

中学を辞めた。そして家も出た。無断で。

そして身分を偽り働くことにした。だがその働く場所でも黒井はうまくいかなかった。

何故か怪訝な目を向けられる。そして細かいいじめをされる。それによってストレスはまた溜まる。

ピアスはもう開ける場所がない。ピアスはもう無理だった。そこで………案は。


タトゥーだった。


身分を偽り年齢を偽り鎖のタトゥーをはじめは右手のところに鎖のタトゥーをいれた。その痛みは凄かったが完成を見た後の自分も凄かった。何でも出来るような気がした。何故かヒーローになれる気がした。だから。

言ってみたのだ。


「止めてください。」


と嫌がらせをする人たちに。


だが。

その人たちは笑ってこう言った。


「お前は馬鹿にされるために産まれてきた劣等生だ。バーカ!」


っと。

その後黒井の記憶は


無い。



気がつくと血まみれの人が倒れており両手は真っ赤になっていた。


「あ、そうか。あはは。あ、そうか。あはは。あ、そうか。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。」


血まみれの中で狂ったように笑い続ける。笑い続ける。

簡単なことだった。簡単なことだった。とても簡単なことだった。


「あ、そっか。行かなきゃ…………」


そこからだ。

黒井のいじめに加担した奴らを血まみれになるまで殴りまくったのは。いじめたヤツも親も先生も。皆、皆、皆。

全員血まみれになるまで殴りまくった。


「あはは。あはは。あはは。あはは。あはは。」


この時が生きてると一番感じれた。

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