第277話 真面目なヤツほど不真面目なことが多い

「皆さん盛り上がってるところ悪いのですがお風呂が沸きました。」


「あ、大丈夫です。盛り上がってる訳ではないので。」


野犬がワンワン吠えてるのと一緒なので。


「そうなのですか?なら皆さんお風呂に入っていただいて結構です。このコテージの自慢優雅な森が見える露天風呂でございますので心ゆくまでおつかりください。」


「あ、黒井さん!混浴はアリですよね!はい!わかりました!よしっ!行こ。優くん。」


「あ。すいません。混浴はナシでして。」


「え~。そんなぁ…………」


ガックシ肩を落とす百舌鳥先輩と小さくガッツポーズする進藤。そのガッツポーズ見られたらまたヤラれるぞ?


「ですので女子様は女子風呂へ。男子様は男子風呂へ。入ってください。」


「え、コイツらと一緒に?そんなのいや」


「露天風呂は一回目がキレイなんです。別にいいですよ。貴女が細菌だらけの風呂に入ろうがなんだろうが関係ないですから。」


「ぐぬぬ…………」


ホントに黒井さんに頭が上がらないな………

タイプ悪いんだろうな………マジで。


「とりあえず男子、女子別れて入ってください。私はここで待っておきますので……」


「いや、黒井さんも入りましょ?」


「え?」


「いや。俺らのことばっかりで疲れるでしょ?風呂にでもつかって一休みしてくださいよ!」


「あ、でも………」


「あ、俺ら邪魔ですか?もしかして………」


「違います!違います!晃太様たちは邪魔なんかではありませんが………その………」


「黒井。入ってきなさい。」


「お嬢様。」


「大丈夫よ。心配することないわ。この人たちなら信用も出来るし私も立派になったから!少しは一休みしなさい。」


「わ、わ、わかりました………では入りましょうか………」


「どうぞ!ゆっくりゆったりつかって……」


「ですが………」


「はい?」


「見てもひかないでくださいね?」


「ひく?」






「ホントヤバいとは思ってましたけど……忍先輩体バキバキっすね?」


「そう?普通じゃない?」


「普通の人は板チョコみたいに腹筋割れないんですよ。」


凄いな………6?いや、8?8以上あるかもしれない………凄いわ。伝説のヤンキーは伊達じゃないな。


「あ~、癒される………」


「進藤お前………溶けてないか?」


「もう溶けてなくなってもいいよ………」


「そんなスライムみたいな言葉………」


冗談のようで本音だろうな………確実……


「てか忍先輩。」


「うん?」


「タトゥー無いんですね?」


「タトゥーは無いよ。あると思った?」


「若干………」


「入れたかったよ。昔憧れた存在がいてその人みたいにタトゥーをでかでかと入れたかったけど、ひよってね。」


「忍先輩もひよるんですね………てか黒井さん遅いですね………あ、来た来た。黒井さ」


ガラガラっと扉を開けて入ってきたのは


全身にタトゥーを彫った男の姿だった。






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