第275話 天国と地獄って運動会でしか聞かないよね。
「皆さん手を合わせてください。ごちそう様でした。」
「「ごちそう様でした!!」」
言い合いだらけの食事だったがようやく終わった。まぁ、旨いモノばかりで箸が進んだのでよしとしよう。
「皆さん後片付けは私がしておきますのでリビングでゆっくりくつろいでください。あ、お風呂も沸かしますのでその間何かゆったり過ごしてください。あと、貴女は私と準備です。」
「はぁ?また?」
「当たり前ですから。牢屋に入れられたいですか?」
「こ、この………卑怯者……………」
「犯罪者にいわれたくないです。はい。まずは残った料理にサランラップかけてください。」
「チッ………」
「舌切りますよ?」
相変わらず心音姉さんは黒井さんには頭が上がらない様子。多分普通に来てたらこんなことなかったと思うけど………完全な自業自得だよ。南無。
「で、ちょっと暇だけどどうする?何かゲームでもする?」
「ゲーム!ゲーム!ゲームいいですね!やりたい!」
アリス先輩はゲームという言葉に過剰に反応し過ぎでは?楽しいのは分かるけどさ………
「ゲーム機使って遊ぶのもいいけど。」
「何?何か面白いのあるの?」
アリス先輩の期待の目にゴホンっと咳払いしそして………
「古今東西山手線ゲーム!」
「あ、それ聞いたことある!高級な食べ物とかお題だしてパンパンのリズムでトリュフとかフカヒレとかキャビアとか言うゲームだ!テレビでやってた!」
そんな限定したお題でやるかな?テレビで。しかも番組で。絶対一周くらいで尽きるでしょ。
「知ってるならOK!ならいくよ!古今東西、自分の彼女のいいところ!はいは」
「ちょっと待て!」
「何?ゲーム妨害?晃太くん?」
「妨害じゃねーよ。何だって?お題?」
「え?自分の彼女のいいところ」
「何なのその限定的な話題は。」
「いいじゃん。ハイハイ!」
「待て待て待て。」
「何で妨害すんの?ほらもう他皆バラバラに始めたじゃん。」
「始めた?」
「アリスのいいところ。顔が良い。性格がいい。がんばり屋さん。人の痛みを分かることができる。いい意味で頑固。いい意味でマイペース。自分を突き通す信念を持っている。料理が上手い。女子力が高い。俺みたいな人間を助けてくれた女神。あと………」
リズムもクソもなくただただ言葉を、いい言葉を連射する忍先輩。
「えへへ!えへへ!えへへへ!」
アリス先輩満面の笑みだわ。そりゃそうだよね。だってゲームじゃないもん。ただの褒められる褒められてるだけだもん。まだ続いてるし。
「私のいいところ!100言って。1分以内に。」
「ちょ、百舌鳥先輩…………ムリが………」
「よーいどん。」
「ちょ、え~……………顔がいい。え~…髪がキレイ………え~目が大きい………え~」
「ストップ。外見だけ?内面は?内面も言わないと、ほらリスタート。」
「え、え~………内面?内面………内面…内面……内面………内面………内面………」
「あと10秒。」
「え、嘘………え~とえ~とえ~とえ~とえ~とえ~とえ~と~………セックスが好き!」
「終わり。100も言えてないし内面セックスが好き?は?」
「え、いや………その………」
「分かった。分かった。セックスしたいんだね。分かった。肝試しのあとにセックスしてあげるから!」
「イヤ!今の無しで!」
「イヤって何?イヤって………?はい。朝までゴム無しコースになりました。はい。力溜めといて。あ、逃げようとしてもアレだし、鎖。あるから。」
「………………」
2組のカップルで天国と地獄みたいな雰囲気が起きてる。凄いな。逆に。
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