第274話 誰のが一番旨いって言われて全部言ったらブーイングうけるのマジ納得いかないんだけど。
好きな人のために来た。
確実にそう言った。彼女は確実にそう言った。
好きな人のため………このコテージに?
このカオスなコテージに来た?
そんなことあるのか?
しかも確実に好きな人と言った。
つまり南 乃蒼の好きな男がこの中にいると言う訳だ。
…………とても面倒なことになった。
忍先輩がもし好きな人だったらアリス先輩は多分香織仕込みの荒業で南 乃蒼を学園からいられなくさせるかもしれない。
進藤が好きな人だったら百舌鳥先輩は100殺しにかかるだろう。
そして晃太の場合、香織 彗 雫 心音姉さん 各人物から様々な嫌がらせをうける。嫌がらせだけならいいが多分好戦的なヤツが多いからぶち殺される可能性が高い。というか殺される。
ヤバいな…………本格的にヤバくなってきた。
南 乃蒼の言葉によるともうすぐその企みは実行にうつされるようだ。
そうなればこっちも止めれない。というかその企み自体が何なのか、まだ理解していない時点で確実に詰んでいる。だからどうするべきも何もない。
このコテージにでっかい嵐が来る、それだけ。それを知っているのは晃太だけということになる。
まるで後数分後に世界が終わると1人だけ聞かされた気分だ。
どうすれば…………
「晃太くん?晃太くん?晃太ぐん!!」
「耳痛っ!何?」
「あ、良かった。鼓膜破れてなかった。」
「今ので破れるかと思ったわ。何?一体?」
「何?なのはこっちのセリフだよ!手止まって何考えてるの?世界は終わらないよ?私が食い止めて終わらせないから。」
「お前はア○レちゃんか。」
あっちむいてほいでビームの向き変えれるんだよな。凄いよ。マジで。
「で!どう?」
「どうって?」
「もう分かってるくせに!このこの!」
「痛い!そんな強くやるもんじゃねーからそのドリル攻撃!」
「だから!どうよ!私のトンカツは!」
「え?あー旨いよ。」
「他の人より?100倍旨いよね?ね?ね?」
「オイコラ。洗脳すんなよ?香織?」
「先輩だけじゃないですから。私たちもいますし。」
「こーちゃん私ほとんど作ったのよ?褒め」
「貴女は作るのが当たり前ですから褒められるとかないですから。」
一斉に喋ると誰が誰だか分からないから。
………いや、残念なことに分かるんだよな…
香織はトンカツ。
彗はカレー。
雫はクリームシチュー。
姉さんはほとんど。気合い入れたのはピザらしいが。
「「「「誰のが一番旨い?」」」」
あ~何重にも重なるその声。
「え~。全部旨いじゃダメ?」
「「「「ダメ!」」」」
別にいいじゃん………
進藤を見てよ。百舌鳥先輩が食わしてあげてるじゃん。何か寿司だけど何か詰まりそうなくらい押し込んでるけど。
アリス先輩と忍先輩見て。めっちゃ仲良く食べてるじゃん?あれで良くない?
「「「「良くない!」」」」
「心を読むなよ…………」
あ、乃蒼はというと………クリームシチューを食べていた。優雅なもんだわ。企みを持つ犯罪者が。
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