第270話 アリスお嬢様は肝試しがお好き?
「肝試し………ですか?」
「はい。あの~この乃蒼さんが勝手に決めたんですけど………流石におこがましすぎますよ」
「え!面白そう!面白そう!面白そう!」
「はい?」
「え、あれ。肝試しってあのお墓に祠があってそこに何か供え物を持っていくかどうかをハラハラドキドキでする遊びですよね!?」
「遊び………というか………根性比べというか………あの………近いです……アリス先輩………顔が………」
大興奮した顔が晃太のすぐ近くにある。目はキラキラ顔はニッコリ。まさに子供。純粋無垢な子供の姿である。アリス先輩……子供に戻ってるし………
「アリス。落ち着こ。」
「あ、そうね!ごめんね!興奮しちゃって!」
忍先輩の言葉で少し我にかえったアリス先輩だが語尾語気はまだホット、熱い、というか興奮が冷めてない様子。
「え、てか肝試し………OKなんですか?」
「え。OKに決まってるじゃん!」
「決まってるじゃん………って。そんな簡単に決めても」
「だってここ私のコテージだし。」
「……………」
それを言われたら終わりだわ。それ言われたらもう何にも言えない。強すぎる言葉だし。
てかアリス先輩のコテージではなく校長のモノでは?もう校長は記憶から抹消された?出さないほうがいい禁止ワード?禁止カード?校長…………まだまだ冬眠は長いみたいですよ………
「ね?いいわよね。黒井。」
「はい。アリスお嬢様がいいならば大丈夫です。ですが。」
「ですが?」
「近くにはお墓とかはありませんよ?あっても………う~ん。お地蔵様が少し行ったところにあるくらいで。」
充分過ぎるだろ。
と内心突っ込む晃太。
「お地蔵様ではお墓には勝らないよね。」
勝る勝らないとか関係ないよ。
「けどまぁお地蔵にお供え物を持っていく肝試しをしよう!時間は午前2時だ!皆いいね!」
アリス先輩がバンバンバンバンと決める。
事がトントン拍子に進んでいるな………
「別に私は肝試し構わないけど1人で行くわけ?」
「ビンゴ!」
「怖っ。デカイわよ。声が。」
彗の指摘に一気にでかくなるアリス先輩の声。
「肝試しと言えばその名の通り肝を試す、度胸を試すこと!だから1人で!といいたいところだけどここには都合よくカップルがいるじゃん!だから2人で行こうよ!」
「あ、じゃあ私は優くんと。」
「あ、私は晃太くんと。」
「愛人様と。」
「こーくんと!」
「こーちゃん行くよね?」
あ~、決まってる人はいいよね。最後のほう決まるかな?血みどろの戦いにならない?ここが肝試しの現場にならない?
「う。」
「あ、はい。乃蒼さん。」
無茶苦茶になりそうな空間でスッと手を挙げる乃蒼。
「私…………箱に………名前書いて………紙…………入れた………だから………大丈夫………」
この時乃蒼ナイスと思っていた晃太だったがそれも数時間後には騙されたと思うことになる。
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