第268話 最初の冗談から彼の自爆は始まっていた

「整ってる?はぁ?何言ってるんだよ?」


赤ちゃんの準備は出来てる?


「出来てる訳ねーだろ!何処に出来て」


「まず。私は頭が良いよね。」


「良いよねって………」


「学年トップ近くまで私はいるよね?」


「いる………けど………それが何の意味に………」


「私、将来の夢言ったことあるかな?」


「な、ないけど………」


「私、薬剤師になりたいんだよね。」


「や、薬剤師?」


コイツの口からそんな言葉、そんな立派な職業、聞いたことなかったけど………自分で晃太自身で言いたくないけどコイツのことならお嫁さん!とかアホな言葉言うと思ったけど


「お嫁さんになるのは夢じゃなくて未来だから。叶えるとかじゃないから。言わなかったけど。私の夢は薬剤師。それは何故か、分かる?」


「分かる?って…………」


「薬剤師はお金が給料がいいんだよ。しかも働き手も結構ある。欠点としてはお金がかかるってとこがあるけど、親にも言ってあるし私目指してるから。主席での特別待遇処置。それでゼロにするから。それが私の未来予想図。」


「……………」


コイツ…………目がマジだ。目がマジだけどホントだ。


「赤ちゃんが産まれる。赤ちゃんが出来る。生命の誕生は素晴らしいことだけどお金がたくさんかかるのはこの腐った世の中と腐りきった大人を見てたら分かるよ。けど私は晃太くんとセックスできると、いつか出来ると信じていたからだから私は頭だけは良くしていたんだよ。」


「……………」


「分かる?私だって何も考えずにセックスセックス言ってる訳じゃない。そこら辺にいるような快楽のためだけにセックスするDQNじゃないから。そこは理解して。」


「……………はい………」


正直晃太は香織のことはただのセックス好きのDQN野郎だと思っていたから理解して、という言葉は重く心にきた。

コイツまさかそんな赤ちゃん欲しい赤ちゃん欲しいって言うただの馬鹿だと理解してたしそう思ってたからこの言葉、この未来予想図はかなり心にきた。


「じゃあちなみに聞くけど………」


「うん。」


「俺が誕生日プレゼントは俺って言った時、正直ガッツポーズだったわけ?」


「ウキウキでガッツポーズでもうやっと未来が進んだ、って思ったよ?」


「……………」


あのときの完全なる冗談は色んな意味でこの女をこの香織という女を突き動かしたんだな。


「だからこれからはより根を入れてセックスして赤ちゃんをつくってあの女、彗の愛人をやめさせて2人で新しい未来をつくろ」


ピーピーピー!ピーピーピー!ピーピーピー!ピーピーピー!ピーピーピー!ピーピーピー!ピーピーピー!ピーピーピー!


彼女の言葉が終わる前にそれは、

大きな大音量の音はコテージ中を鳴り響いた。

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