第265話 その目は本気の目をしていた。本気と書いてマジ

「どうぞ………」


ドアを開けた瞬間………飛び入ってくる2人の猿………あ、すいません。猿ではないですね。メスザルですね。


「今余計なこと考えたでしょ?」

「愛人様変なこと、いや失礼なこと考えたでしょ?」


「いや………考えてねーよ。」


何なの?テレパシー?超能力?人の気持ちが分かるの?意味不明なんですけどぉ?


てかもう何か普通にさらっとしていたけど。もう普通に入ってきたんだな……晃太の部屋に。晃太の過ごす部屋が。止めて欲しいな。

この空間だけは壊されたくなかったな。

壊されるけど。


「愛人様。」


「何?」


「ベッドに私の匂いをつけてもいいですか?」


「やめてくれ。犬のマーキングかよ。」


「マーキング………犬…………あ!わかった!」


「排尿する、排尿しろってことじゃねーぞ?」


どんな脳みそしてるんだよ。OK出す訳ないでしょうが。


「晃太くん。」


「何?」


「私の歯ブラシ置いとくね?」


「何で?」


「何でって何で?」


「いや、お前にはお前の部屋があるじゃん?」


「私の部屋は私のモノ。晃太くんの部屋も私のモノ。」


「もうそろそろ剛田さんシステムやめませんか?もういいじゃん。」


お前は王様かよ。


「私は彼女様だよ?」


「それでもなぁ」


「あ、私は愛人様です!」


「あ、じゃないし!別に張り合うな!」


「あ、その言葉で思い出した。」


「は?」


「ゴホン!アンタをここに来させた理由。」


「理由?」


不思議そうな顔をする彗。


「もう私は難しく言うとか遠回しに言うとか出来ないからざっくりバッサリ言うから。」


「何?何よ?」


スゥ~っと息を吸った香織は勢いよく話した。


「彗。綾崎 彗。アンタは晃太くんの愛人をやめなさい。」


「は?」


「今日をもって」


「は?」


「今すぐに。」


「は?」


「早急に。」


「何言ってんの?ふざけんなよ。」


明らかに不機嫌に荒々しくなる彗。

これはあの時の、放送室ジャックをした時の彼女の目と同じ目をしていた。


「私が、晃太くんの、愛人を、やめる?は?」


「もう1度言うよ?愛人をやめな」


「は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?は?」


勢いよく出される言葉はまるで弾丸。だがそれに怯まないのが香織。


「愛人をやめなさい。愛人をやめなさい。愛人をやめなさい。愛人をやめなさい。愛人をやめなさい。」


「は?ふざけんなよ。何で愛人やめないといけないんだよ?」


「私たちが新しい道に進むために」


「私も愛人様、いや、晃太と新しい道に進むから。」


「は?」

「何?何言ってるの?」


彗もスゥ~っと息を吸う。そして。


「私も愛人様と赤ちゃんつくるんです。」


「は?」

「は?」


「赤ちゃんつくるんです。赤ちゃんつくるんだよ。赤ちゃん。」

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