第252話 最初の設定から考えたらあり得ないことが起きている。
「で、何でここにいる訳?俺ら。」
「なんで、とは?」
「いやいや………」
何不思議そうな顔してんだよ。
「ここ、進藤の部屋だよな。」
「だね。進藤の匂いがつくから晃太くんに引っ付く~!」
「いきなり被さってくんな!びっくりするから!」
ホント油断も隙もないわ。コイツ。
「で、本題だけど。」
「なんで、進藤の部屋に私たちがいるのか、でしょ?」
「………そうだよ………」
「えっへん!やれば出来る子代表例!私っ」
「やれば出来るとかじゃなくただ本筋をぶらさなければいけるんだよ。お前は」
本筋がブラブラなんだよ。
「その答えを聞いてるんだけど?」
「進藤の部屋にいる理由?」
「あー、そうだよ。」
「あ、ちょっと待って。」
「なんだよ。」
「静かに。」
シッ、じゃないんだよ。
「10 9 8 7 6 5 4」
「ちょっと待って。何のカウントダウン?」
話を聞かない香織はそのまま突き進む。
「3 2 1 はい!」
ピンポーン。
「ほらジャストタイミング。」
「………お前が怖いよ。俺はもう。」
何で分かるの?とかよりそんな理屈こねまくるよりもう純粋に怖い。怖いから。人智を超えた何かに目覚めたのか?
「帰ってきたよ。ハンターが。」
「ハンターじゃねーだろ。」
「違うよ?あの黒いスーツに黒いサングラスかけてるあの足の速いハンターではなくてね?」
「どのハンターの話をしてらっしゃる?」
「恋のハンターが帰ってきたんだよ!」
「は?」
「恋愛のハンターが帰ってきたんだよ!ほら開けるよ!は~い!今から開けますよ~!」
香織が扉を意気揚々と開けるとそこには……
「……………」
「ミッションクリア。逃走者確保。ゲームオーバー。」
進藤の両足を掴み肩で担ぎながらまるで猪狩りに行った人間がドデカイ猪を捕まえて帰ってきたみたいに、帰ってきた百舌鳥先輩の姿が。
「おかえり!」
「ただいま。」
「………おかえりください。」
「へ?」
「………あ、違った。間違えた。」
つい本音が。
「あ、おかえりなさい。百舌鳥先輩。その……後ろに担いでるのは」
「優くん!今気絶してるけどね?」
「……………」
皆忘れてるかもしれないけど、百舌鳥先輩は小柄な少女なんだよ?それをそこそこデカイ進藤を担ぎながら帰ってくるって………
おかしいよ………やっぱり人智を超えた……いや、違うな。何処かでなんか改造でもしました?じゃないとおかしくない?
「とりあえずミッションはクリア。優くん捕まえたし。」
「よっしゃ!こっからだね!こっから2人の進展をスタートさせるんだね!」
進展させる、って言うより………もうすでに後退してはいないかい?
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