第249話 無駄遣い能力
「ここが進藤の部屋。」
「ここだよ。GPSがこの部屋から発動してるから!」
「……………」
GPSの普及が広まるな………いらない普及だわ。止めてほしいな。女の暴走をこれ以上しないでくれ。
「じゃあトントンしよう。」
「よしっ!じゃあ!」
トントン。
ドアを叩く百舌鳥先輩。
しかし部屋から反応は無い。
「いないんじゃないっすか?」
「いやいるよ。GPSがここから反応してるから。」
「いや、GPSって言ってもケータイとかでしょ?どっか置いて出かけてるかも知れないじゃないですか?」
「?ケータイ?私ケータイにGPS入れたって言ったっけ?」
「へ?」
「私優くんの耳の裏に小さなGPSをつけてるんだよ?だから絶対いるよ。ここに。」
「……………」
何処につけてんだよ?せめてケータイにしてくれ。
怖いから。
トントン。トントン。
「優くん?いるでしょ?いるのは分かってるんだよ?」
取り立てのヤクザかな?
「先輩。」
「うん?」
「寝てるんじゃないですか?疲れてるみたいだったし」
「いや、優くんはこんな変な時間に寝ないよ?」
「いや、環境が変われば寝るんじゃないですか?」
「いや、優くんはそんなんで変化する人じゃないから。」
ダメだ。全ての言葉がまるでゴムみたいに吹き飛ばされる。まるでゴムの風船…………
「じゃあトイレかも?だからもう少ししたらくればいいじゃないですか?」
「なら待てばいいじゃん。」
「……………」
ごめん。進藤。多分力になれないわ。この人強情過ぎるわ。
「とりあえず優くんが中にいるのは分かるけど中で何かしてて開けてくれない。なら待つしかないね。それか黒井さんにマスターキーをもらってくるか。うん?香織ちゃん?何してるの?」
香織はドアノブに向けてピンセットみたいなモノを入れ込む。
「お前ホントに何してんだよ?」
「私ね。キム○クが主人公のゲーム、実況も見たし自分でもしたんだよね。」
「だから?」
「今なら出来ると思うんだ。」
「何が?」
「ピッキング!」
カチャカチャと指を動かしながら喋る香織。
確かにあのゲーム内にはその主人公のキャラがピッキングして入るっていう、犯罪ギリギリなシーンがあるけども。それはゲームだから。ゲームだから、で済むから。でピッキングのやり方もそんな詳しく書いてなかったし、
「無理だろ。とりあえず今は一旦ひこ」
カチャ。
「へ?」
「え?」
カチャ、っと音と共にドヤ顔の香織が扉を
開ける…………
この場合ゲームが悪いの?いや、ゲームは悪くないよね。この無駄遣い能力が絶対に悪いよね。絶対。
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