第243話 黒井さんは怒ってる
「とりあえず皆さんの自己紹介が終わったのでお部屋わりをしましょう。」
「はーい!私は優くんと共に………」
「あ~………別に一緒に過ごしてもらうのはいいんですけど………一応自分の部屋わりはしないといけないので。」
「あっ………ぶぅ~………」
不満げな百舌鳥先輩。一方少し笑みを見せる進藤。良かったね。良いことあって………
「一応この建物が5階建てなので分かりやすいように1階が1年の雫さん、乃蒼さん。」
「1階ね?りょーかい!」
「……りょ。」
「1階は皆さんで食事をする場でもありますので私も時々下準備等できさせていただきます。ご承知を。で2階。2階は2年生の皆さん。百舌鳥さん、進藤さん、綾崎さん、社さん、沢さんで。」
「分かりました!」
「分かった!」
「………」
「あざす。」
「ありがたいです。」
「で3階。3階はアリス様と忍さん。」
「よろしく!忍!」
「こちらこそ。」
「で4階。4階は私と心音さ」
「ふざけんな!」
「へ?」
「ふざけんなよ!老害!私はこーちゃんの姉だ!一緒の部屋が当たり前だろ!なのに何で4階なんだよ!」
「いや、私たちは大人ですから。」
「大人だからなんだよ?」
「普通は林間学校に参加できないんですよ?」
「は、はぁ?」
黒井さんの優しい笑みでぐぃっとくる言葉にあの心音姉さんが怯む。
「私は晃太さんのご厚意で貴方はアリス様のご厚意で林間学校に参加できているんですよ?」
「ご、ご厚意だぁ?」
「普通なら林間学校を一旦中止して貴方を不法侵入の現行犯で逮捕すべきなんですよ?」
「だからそれは愛だから関係な」
「愛だからとかそんなものは犯罪には関係ないんですよ。」
「だ、だから私はこーちゃんを愛してるから……」
「愛してるからなんです?愛してるから犯罪も許されると?ふざけているんですか?」
「うっ……うっ………」
さっきの勢いは何処へやら黒井さんに言いくるめられている心音姉さん。久々に見た。こんな姉さん。
「だから私たち2人は大人組で4階で。後貴方には私から少し言葉を授ける必要がありますね。」
「こ、言葉?」
「後で私の部屋に。」
「な、何で男の部屋に………」
「来てくださいね?」
「………うっ………う~………」
「ということで皆さん自分の指定された階へと。部屋は皆さんで決めてください!その後はご飯まで自由時間です。何でもOK何でも貸し出しもしますので自由になさってください!では!」
黒井さんの言葉で一斉に散らばる全員。
「晃太くん。2階へ。」
「あ、あぁ。」
「では行きますよ。心音さん。」
「何でアンタに心音とか呼ばれないといけないのよ!」
「じゃあ犯罪者、とでも言えばいいですか?貴女には1から教育が必要だ。」
「ちょ、触らないで……ちょ、触らないでよ!」
逃げ出した猫とその飼い主みたいに4階に連れていかれる心音。
ホントに………黒井さん………いてもらって良かった………
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