第236話 狂喜とドン引きのサプライズ
社 晃太の姉 社 心音は以前も語ったかも知れないが看護師をしている。いわゆるナースである。ナースのお仕事はやはり激務らしく姉も疲れが溜まる時がやはりあるらしい。
そんな時、そんな疲れが溜まっている時、特に疲れが溜まって休日になった日等、彼女は確実といっていいほど
朝風呂に入る。
それによって気分が変化するらしい。その時間はまちまちではなくいつも決まって9時頃なので晃太は姉に一緒に入ろ?と言われないように自分の寝室で寝たフリをしている。
それが社家の社姉弟の日常だった。
だけど…………
「姉さん…………」
「姉さんとかじゃなくてここね~でいいんだよ?私達は姉弟を超越した恋人という存在なんだから!」
「……………」
ツッコむところはいっぱいある。
何でここに?とか
いや、姉弟で恋人とか無理だし。とか
何でバスタオル巻きスタイルでいるの?とか
色々聞きたいこと、聞かないといけないことはあったのだが、とりあえず一番聞かないといけないのは…………
「何でこのコテージにいるの?」
その根本のところだった。
「フフフ。私数日行方不明状態だったでしょ?」
「自分で行方不明とか言うんだ………まぁ、いいけど………」
「でその間に私はサプライズの用意をしてたの!」
「サプライズ?」
「うん!先にコテージにいってこーちゃんを待っておくこと!」
「………………」
この時点で何で?が頭を占領したがまぁいい。
「で、コテージを探した訳よ。あの生徒会長の名前は百合姫 アリスだってのは雫の野郎から聞いてたから。」
「そんな少ないヒントで?」
「まぁ街の人とかから聞いてまぁ探し当てたよね。」
「……………」
「人間に出来ないことはないんだね。」
というかこの姉に出来ないことがないのでは?地獄に堕ちても素手1本で生還しそうだわ。
「でも………」
「でも?」
「コテージの鍵は?かかってたでしょ?」
「鬱陶しいことにね。」
「防犯のためだよ。」
アンタみたいなのが来ないようにだよ。
「それはどうしたの?鍵は3桁の暗証番号がかかったチェーンつきで開けられる訳が…」
「そこは根性よ。全部合わせた。」
「え?」
「全部合わせた。」
「3桁を?勘で?」
「全部合わせた。」
「何時間かかるの…………」
「まぁ、日は暮れたけど開いたよ。けど何か疲れたし眠かった訳よ。私は。でもいつこーちゃんが来るか分からないからさ。寝る訳にはいかないし、寝てたらサプライズにならないし。で時計みたら9時じゃん。丁度って。だから。」
「風呂に入ってたと…………」
「まぁそんな感じ?でもあぁ………サプライズは失敗だね~。私の予定ではソファーに座ってる状態で待ってたかったんだけどね~」
残念がる姉。
心配しないでください。心配しなくてもサプライズになってます。めちゃくちゃドン引きのサプライズに………
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