第235話 色んな意味で危険な来訪者
「鍵が開いてる?」
「はい。ほら。」
黒井さんは持った鍵を鍵穴に入れずドアを開ける。すると、スッーっとドアが開くではないか。
「え?閉め忘れとか?」
「いや、私が2週間ほど前に行った時は確実に鍵は閉め戸締まりはしたはずです。鍵のかけ忘れなんてそんなベタをことしませんよ。」
「じゃあ何で?何で開いてるの?」
「それは。それは…………分かりませんけど………」
「ていうかアリス先輩に黒井さんそんな悠長にしていていいんですか?」
「え?」
「悠長?」
「いや、コテージの鍵が開いてることがかけ忘れかどうかなんて関係ないじゃないですか?大事なのは中を荒らされてないか。モノを盗られてないか、ですよ。」
「あ~、確かに晃太さんの言う通りですね。」
「盗られても別におじぃちゃんのヤツばっかりだし別にいいんだけど。」
ホントにアリス先輩校長のこと許す気がないんだな………もう一生北海道の一角で冬眠しないといけないのではないだろうか?校長。
「今から私たちが過ごすコテージに泥棒が潜んでいるとか嫌だもんね。」
「アリス。心配しないで。いざというときのために持ってきてるから。金属バット。」
「わぁ~!流石我が愛すべき彼氏!準備オッケーじゃん!」
「外に連れ出してボコボコにして埋めてやりますよ。一生このコテージに入れないように足の骨も折って。コテージには一切血はつけないように。仕事完遂しますよ。」
必殺仕事人じゃないんだから。そこまでしなくてもいいのでは?でも今忍先輩という狂犬を操っているのはアリス先輩だから。鎖は首輪はアリス先輩だから。そりゃあ………仕事人にもなるか………
「とりあえず中に入ろう。皆は外にい……うん?アレ?」
「どうしたんですか?アリス先輩?」
「ついてる。」
「へ?」
「1階のお風呂の電気が………ついてる。」
「へ?」
風呂場の電気が?ついてる?
「黒井。」
「そこだけ消し忘れることはないかと。というかそこだけついていたら逆に目立つので。」
「確かに。じゃあ…………何で?」
「泥棒が風呂に入っている。ということですか?アリス?」
「そんなバカな。泥棒が風呂に入って待ち構えるなんてそんなバカな話ないでしょ?」
その時、晃太は何故か凄く嫌な予感がした。
考えたくもない嫌な予感が。
「アリス先輩。今何時ですか?」
「え?9時くらいかな?」
「朝………朝風呂………休日………」
嫌な予想が少しずつはまりだす。ピースがはまりだす。
「ちょっとオレが見に行ってもいいですか?」
「ちょ。」
「愛人様!」
「危険だよ!」
「……………」
止めてくる女子たち。それでも。
「すいません。オレに行かせてください。」
晃太の意思はぶれない。
「分かった。」
「アリス様!」
「だけど危なかったら言ってよ。忍が行くから。」
「心強すぎます。」
感謝しながら一歩一歩お風呂場に近づく。近づき近づき、目に入ったのは…………
「あ、こーちゃん!遅かったね!」
我が姉だった。
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