第234話 コテージ到着!さっそく不穏な風

「とりあえず………次!次!次しなきゃ!次するのが大事………」


「あの~盛り上がっているところ申し訳ないんですが。」


「へ?」


今にも剣を刺そうとする彗を言葉で制止したのは………運転手の黒井さんだった。


「何?」


「あの~もうコテージにつきます。」


「え?」


「というか。もう着きました。」


黒井さんが指差す方向には、超立派なコテージがそびえ立っていた。というかでかすぎないか?

何階建てだよ?木造で丸みをおびた木で出来てる可愛らしい構造だけど大体そういうのって2階くらいじゃないの?2階じゃない……2階どころじゃない。


「ではでは皆さんコテージのご紹介をしますので車から降りてくださ~い!」


あまりに突然のことでビックリしている皆を他所に1人降りていく、最初に降りていく黒井さん。


「……………」


まだ刺そうとする彗の手を止めて香織は……


「オワリ」


「終わりじゃ……」


「オワリだから。ね?」


力強く彗の手を捻る香織。


「痛い!痛い!痛いから!」


「オワリダカラ。ネ?」


ロボットみたいに喋る香織は何だか異様な怖さがあった。


そんなこんなイヤ、そんなこんなことがあって、下車もままならないのか。この面子は。


「皆さんおりましたか~?1、2、3………うん。全員いますね!今時車内で放置して熱中症になって倒れちゃうとか最悪命落としちゃう人も多いですから。良かったです!」


黒井さん………心配してくれるのはありがたいんですけど、その心配って幼稚園児とか保育園児とかの話じゃないですか?まぁ、僕らオレらのことを大事にしてくれてるのはありがたいですけど……………


「ではでは!紹介しますね!これがこの林間学校でつかうコテージでございます!一般的な2階ではなくここのコテージはなんと5階建て!めちゃくちゃ広いのでしっかり使ってくださいね!あ、後迷子にもならないでくださいね~?」


「迷子になる可能性があるんですか?」


「はい!」


力強い言葉だな…………黒井さん………


「このコテージをつくったおじぃさまなんてこのコテージの中で1人で迷子になって…」


「黒井。」


「はい?」


「おじぃちゃんの話は無しって言ったよね?」


「あ。」


しまった、という顔の黒井さん。


「ごほん。今、放送事故がありました。今の言葉、場面は全て消去してください!」


「……………」


いや、無理だろ………ガッツリ聞いてるんだから。

てかアリス先輩、まだ校長のこと嫌いなんだ。嫌いなんだな…………助ける気がないんだな。


「……こほん!ではでは。中を紹介するので皆さんついてきてくださ………え?」


「どうした?黒井?」


「ドアが………………開いてる……鍵かかってない。」

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