第232話 ポキマゲドン
吹き飛んだ黒ひげの親父は揺れる車中でコロコロと無造作に動く。
「………………」
晃太はいつも無言だが。
「………………」
飛ばした本人も。まぁ彼女は元々口数が少ないが。
「…………………」
他の面子も無言でただただ何もいない黒ひげの親父の脱け殻を見つめる。あの香織でさえも無言でただただ持った脱け殻をぼーっと見ていた。
しかし、香織は………
「あ、当たりぃ~…………乃蒼さん当たり~………おめでとう…………」
力ないモノの話のレールを繋げる。凄いわ。コイツの胆力。
「じゃあ…………ポッキーゲームしなきゃ………あ、でも乃蒼さん男嫌いだよね?じゃあ出来ない……」
「それ」
「え?」
「女子………」
「女子?」
「女子と………でも………出来る?」
「………んえ?同性ってこと?」
「(こく)」
小さく首を動かす乃蒼。
「そ、そりゃあ………ポッキーゲームだから別に異性同性は関係ないとは思うけど……別にいいと思うけど………出来れば男子とすると楽しいかな~………って遊びだから……」
香織も突然の提案にビビったのだろうか?
というか、さっき晃太が聞いた言葉。
この中に好きな人がいる。
そんな不穏な言葉。それはやはり聞き間違いだったのか?いや、聞き間違いだったんだろう。だって好きな人がいるなら同性なんて選択はしないだろう。何だかその言葉に逆にホッとした自分がい
「でも………ダメか………色々」
「え?」
「同性………よしでも………異性にする…じゃないと………ダメって今………思い出した………」
ダメ?思い出した?乃蒼の言葉の節々には不審に思うところが大量にあった………が、今はそれが何なのか、何であるのか、よくわからない。今は今、あの時今を思い出して考えても思い付く訳がなかったのだ。この乃蒼の本心なんて。
「じゃ、じゃあ………誰を選ぶの………?」
異性ならば選択肢は3つ
副生徒会長でアリス先輩の彼氏で元ヤンキー………は関係ないか………の五十嵐 忍先輩か。
晃太の同級生で一応顔はいいものの、今となればもう残念なイケメン代表、残念なイケメン代表格で百舌鳥先輩の彼氏の今、顔色の良くない進藤 優か。
愛人に恋人に自称恋人にブラコンにやはり神はいないのか、と嘆きたくなるくらいのレベルで女難が降り注いでいる社 晃太か。
誰を選ぶ。誰を選んでも目は痛い。いや、視線は痛いけどな。焼けるくらいの熱は来るだろうけどな。
さぁ。南 乃蒼、お前の本心、本性を現せ。
「………お前。」
悩んだように見えて悩んでいない彼女が乃蒼が指差したのは
「俺?」
社 晃太だった。
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