第220話 彼女と彼女の不思議な関係。

「次はいよいよ雫。幸山 雫の乗車時間だよ。ていうか晃太くん?」


「あ、はい。なんすか?アリス先輩」


「晃太くんのお姉さんは?そういえばさっき香織と晃太くんを拾った時にいなかったからさ。」


「あぁ………姉ですか、姉はですね……あの~言い方悪いですけど行方不明でして。」


「え?そうなの?ヤバいじゃん?大変じゃん?」


「いや、心配しないで大丈夫です。あの人は死にませんしそんな簡単に死ぬ様な人じゃないですから。ただ………」


「ただ?」


「嫌な予感がするんですよね………めちゃくちゃ寒気がするくらい嫌な予感が………」


晃太の頭にこべりつく嫌な妄想。それが正夢とならぬよう祈るしかない。



「もうすぐです。もうすぐ幸山 雫さんの家に到着………あれ?」


「どうしたの?黒井。」


「いえ、あの………雫さんは1人で待たれてますよね?」


「あ、うん。そうだけど?」


「私の目の錯覚かもしれないですが………人影が2つ見えるのですが………」


「え?」


黒井さんの言葉に皆が前方を確認する、するとそこには………雫と長身の仏頂面の女子が立っていた。


「南………乃蒼………」


自分の家ではなく雫の家から参戦。え、どゆこと?


困惑ありつつもリムジンは止まる。

そして。


「わぁ!リムジンだ!初めて見た!こんな感じなんだ!」


「私も………」


「てかいきなり黒いリムジンが近づいてきて何だろ?ちょっと大胆な誘拐犯かな?って思ったよ!」


「黒い………ヤクザ………」


まず、ちょっぴりリムジンの違和感に触れてくれてありがとう。オレだけではなかったんだな。リムジンの違和感、リムジンに触れたのは。で、それを一旦飲み込んで、飲み込んだ上で聞こう。


「あの………」


「あ、ドリンクもらえるんですか?あ、ならレモンスカッシュで!」


「私……水………」


「………」


一旦飲み込んだのだが、また話の腰を折られた。………え~………とりあえず。また腰接骨院で治して……っと、もう一回疑問を問おう。


「あの~雫………」


「なぁ~に?こうくん!」


こうくん、その言葉で後ろにいる我が守護神兼彼女が冷気霊気を出す。パチパチ………おかしいな………耳の不調かな?パチパチってクラップ音が聞こえるよ。


「あ、あの………何で乃蒼さんも一緒に…」


「お前」


「はい?」


「お前で呼べ。私も……お前……呼ぶ。」


「……………」


仏頂面でしかも口下手しかも人間嫌い?男嫌い?ときたもんだ。うわ~、はっきり言ってめんどくせぇ………


「と、とりあえず何で2人一緒にいたわけ?」


「え?昨日乃蒼が押しかけてきて。」


「押した。」


「押しかけて………それはよくあるわけ?」


「うん。まぁ、定期的に。かな?」


何だろう。言葉に含みを感じるのは。


「で、まぁ一緒に半日過ごして。今に至る訳よ。わかった?こうくん」


「ピシャリ。」


確かに聞こえた。ピシャリって。ピシャリって言った。ウチの守護神が怒ってる………


「私たち…………仲良し…………」


「そうなんだ…………」


「友達以上……………」


「うん?」


何か乃蒼がボソッと言ったみたいだが聞き取れなかった。

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