第212話 敵を知るにはまず味方の情報屋から
「南 乃蒼 この学校の一年生で185cmの長身、ちなみにこの学校の女子の中で一番高い身長だよ。所属はバスケ部、エースで一年生ながら副キャプテンを任されてる期待の新星だね。だけどたまに何の連絡もなく休む癖があるみたい。男子からの人気もやっぱりあって今まで幾度となく男子達が告白しにいったけど……頭叩かれて拒否された者 ドロップキックで吹き飛ばされた者 口をガムテープでふさいで池に落とされた者 書いてきたラブレターを目の前で燃やされた者……様々な手段と悪徳な方法で男子達の心を折ってきた少女よ。だからもちろん彼氏もいないし好きな人の情報もない。あ、ちなみに住所は…」
「あ、もう充分なんで……昼ご飯食べてください。」
昼休み、またまた生徒会室かなりの情報を話してくれたのは百舌鳥先輩だった。
「え。もう大丈夫?まだまだあるよ?住所に家族構成に……」
「ちょっと知りたいって言っただけなので、大丈夫です。」
長い長い恋の色ボケで忘れかけていたが彼女、百舌鳥 愛梨はこの学校のマスコミいやマスゴミと言われるほどの嫌な意味での情報通。少し知りたいって言ったら1じゃなくて100返ってくることを忘れていた。
「あ、そう?じゃあ……あ~ん!ゆうゆう。あーん!」
「…………」
「わぁ~!食べた~!美味しい?おいちいでちゅか?」
購買で買ってきたサンドイッチをあーんして進藤に食べさせる百舌鳥先輩。進藤は抵抗することなくただ頭を撫でられている。もう抵抗する気が失せたのか?もう人形みたいだ。
「それにしてもその乃蒼って子なんだろうね?あむ。」
「アリス、頬にソースが。」
「え、とって~」
「分かりました。では」
チュッ。
「ちょ………」
「どうかしましたか?」
「わ、わ、私はとって~って言っただけ…」
「だからとったのです。口で。」
「い、いやぁ!そ、そんな急に………ビックリするし……てかムラムラする……いや、何でもない!」
そういうとガツガツと勢いよく食べるアリス先輩。
「ゆっくり食べないと喉、つめるよ。」
そう言いながらソッとお茶を差し出す出来た彼氏、忍先輩。
な~んて2つのカップルの様子を見ながら購買で買った卵カレーパンを食べる晃太……
「晃太くん!」
「あ?」
「私達も負けてられないよ!」
「何で?」
「2つのカップルの姿を見たでしょ?」
「見て何か?」
「ラブラブでしょ?だから私達も負けじとヤらないと!」
「何すんの?」
「口移しで体液と体液の交換を……」
「却下。普通に食事させろ。」
「でもこれじゃ負けちゃうよ!崩されちゃうよ!」
「何を?」
「バカップル一番の座。」
「いらない。いらない。マジいらない。」
そんなもんもらって何になるの?
「てか俺らは10人目の南 乃蒼の調査のために百舌鳥先輩に来てもらったんだろ?」
「それもそうだけど………」
滑り込みで入った10人目のメンバー、南 乃蒼。百舌鳥先輩の言う言葉には男嫌いであることが確かに分かったが、
「百舌鳥先輩、南 乃蒼の交遊関係とかは?」
「交遊関係ね~。バスケ部では副キャプテンだけど名ばかりでほとんどチームメイトとも喋らないしバスケ部には友達はいないみたいね。」
「他は?」
「他も目だった交遊関係はないね。クラスでも1人きりみたいだし………だからビックリしてるの。香織と晃太くんが南 乃蒼の話題を出してきてしかも彼女がこのチームに入りたいなんて………全然予想外だったから…」
「雫とはどうなんですか?」
「雫とは………正直データがない。というか仲がいいなんて私でも知らなかったから。」
「百舌鳥先輩でも知らない………」
マスゴミと言われたあの百舌鳥先輩ですら分からない。
南 乃蒼。彼女がこのチームに入った訳はなんだ?
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