第207話 進藤が機能停止するまでの経緯

「え、だって気絶したんですよね?クラスで。」


「あ、いやそれは……」


「それはそれほどまでに記憶に残り記憶から色濃く残るほど濃密なモノだったのでしょう?」


「あ、いや……それは……」


アリス先輩の無邪気な問いかけにちょっとひよる進藤。で晃太に目を向ける。でその晃太は目で合図する、本音で喋れば?、っと。


「いや…………その………人様に聞かせる話ではないですし……まず聞かせたくないですし………」


「私は聞きたいから大丈夫です!どんな話でもドンと来いです!」


「いやぁ………会長にそんなこと言えま」


パリン。

進藤の前に置いていた麦茶の入れ物が一瞬で砕け散る。


「へ?」


不審に思う進藤の前には……お久しぶりです

あのバットを持った忍先輩がいた。


「お前、アリスが聞きたい、聞きたいって言ってるのにマジで何ふざけてるんだよ?さっさと喋れ。じゃねーと喋るまで脳天にバット打ち込むぞ?」


「コラ!忍!ステイ!そんなバットとかふったらダメでしょ?怖がっちゃうじゃん?」


「だけど………」


「だけども何もないの!ゴメンね?進藤さん?嫌なら喋る必要は……」


「いや、喋らせてもらいます……」


「え、ホントに?いいの?」


「あ、はい………いいんで………その許してください………」


ブルブル震えながら話す進藤。

これで進藤は世の中に怖い人がまた1人増えた。香織に忍先輩に、自分の彼女のはずの百舌鳥先輩。いや~世の中不思議なことだらけだな………


「とりあえず………成り行きから……」


「あ、うん!聞きたい!聞きたい!」


無邪気な笑顔で進藤の話を聞く体勢のアリス先輩。キラキラとビー玉みたいにひかりホントに幼い少女のような可愛らしい姿で聞くアリス先輩。今から聞くのはおとぎ話でも何でもないんだよ?逆の生々しい性の、R18指定の話なんだけどな………


「その……百舌鳥先輩に……」


「はい!」


「はい?」


「はい!」


「はい?」


手をあげるアリス先輩。まるで授業中に質問する生徒のように………


「な、何ですか?」


「何で進藤さんは愛梨のことを百舌鳥先輩って言うんですか?」


「うぐっ………」


「彼女ですよね?」


キラーワードに胸を貫かれたのが心臓をおさえる進藤。


「彼女なら愛梨って呼ぶべきじゃないですか?」

「もしくはあいりんとか呼ぶべきじゃないですか~?」


どさくさに紛れて百舌鳥先輩もチャチャをいれはじめる。


「……………」


数十秒止まった、機能停止した進藤は、まるでロボのように下にウィーンっとうつむき…


「百舌鳥先輩………後は頼みました……」


「百舌鳥先輩?あいりん?」


「……………」


「あいりん?」


「……………」


「あいりん?」


「………あいりん。頼みました。」


プシューっと音がした気がした。

プシューってなるのはロボが故障した時か、テレビで爆○問題見てる時くらいだろうなぁ。

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