第196話 ほっといたらほっといた分だけめんどくさくなる女
「……………」
トコトコと歩いていく香織についていく晃太。
そのスピードはかなり早歩きである。
怒っているのか?その顔は見えないが早歩きだけで彼女がいつもと違うのがよく分かった。
「……………」
「……………」
無言のまま突き進む彼女にただただ金魚のフンの如く黙ってついていく晃太………
無言は約5分ほど続き周りの景色も病院から様変わり街中、色んな人が移ろい歩く場所へと変わった。
「……………」
確かにこの道を通れば香織の家に近づく……
家に帰ってるのか……?いや進藤を探すって彼女は言っていたからこういった一目の多い場所に来たのだろう。俺も彼女と同じように2人を探そう………そう思った、その瞬間だった。
チュ。いや、ブチュ、いや、もっと音は大きく表現出来ないモノだった。
無言を突き通していた香織がいきなりこちらに顔を向け、そして………唇と唇が触れあう、つまりキスをしてきた。
「ちょ、香織………かお………」
そのキスは長くそしてディープで完全に息をすることを止めさせるくらいの勢いだった。
そのキスを一旦待ってもらおうとしたが、まるでその唇は磁石のように離れることがなかった。
周りの目も、え?キス? え?ここで? え?ディープ? スゲェな。 と言ったような顔と目をしていた。
「ちょ、香織………一旦やめ……」
「ダメ。」
「え?」
「これは………晃太くんの懺悔なんだから」
「ざ、ざんげ?ちょ、なにを…」
「いいからキス、続けるよ。」
「ちょ、ま、」
その香織の一言の後にはもう口元はまるでハムスターのようにハムハムされ……いや、違うそんな可愛いものじゃない。まるで蛇、しかも大蛇のように唇を蹂躙され……
大勢の人がいるなか見ているなか晃太はその大蛇に襲われることしか出来なかった。
数十分頃………
パッっと目が覚めるとそこはベンチだった。そしてその下には膝枕、香織の膝枕があった。
「え?ここどこ?」
「近くのビルの近くの休憩場所。周りにも人はいるでしょ?」
「いるでしょ?って言われても………ゴホゴホっ!」
「あ、水分足りてない?」
「あ、確かに足りてないかも……」
「じゃあ水あるから……」
「ありがと………ぐむっ!」
水あるからとペットボトルをもらう態勢をしていたが来たのは彼女の唇で………口うつしで水を飲ます………
「ん、ゲホゲホゲホ!ゲホゲホ!」
「どう?水分足りた?」
「水分足りた?じゃねーよ!さっきからなんだよ?ずっとキスばっかりしやがって一体何……」
「あの、私彼女なんですけど!?」
周りの人もびっくりするくらいの声量でそう話す香織。
「ちょっとそこ座って!」
「え、ここ?」
「違う!地べた!」
「え。」
「文句の前に座る!ハイハイ!」
彼女の勢いにただただ流されるのみだった。
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