第194話 赤ちゃんの有無とバチ

看護婦さんが指差す先には神妙な面持ちの百舌鳥さんが。


「てかそんなことより………モズモズとは?」


「モズモズはモズモズだよ。ちなみに私はリオリオでー」


「リオリオ?」


「私野宮 リオって名前だからね!だからリオリオ。あ、リオリオって呼んでもいいよ?」


「いや、呼ばないですけど………」


進藤がツッコミ疲れた隙に百舌鳥先輩が話を話す………


「進藤くん。いや、優くん。」


「あ、は、はい。」


「結果出たよ。」


「あ、は、は、はい………」


「結果聞きたい?」


「聞きたい?って聞かれたら……本音を言うと聞きたくないけど………」


「聞きたいよね……分かるよ。分かる。」


「あれ?全然話が入ってないけども?」


香織同様百舌鳥先輩も人の話を聞かずに突っ走るタイプだからな…………


「うん。じゃあ言うね。」


「あ、ちょっと待って!ちょっと待って!ゲホっ!ゲホっ!ゲホっ!」


思いっきり自分の胸を叩く、いや殴る進藤はむせるが何とか耐える。


「よしっ………大丈夫。大丈夫だから…大丈夫。大丈夫。大丈夫だよ………」


「じゃあ言うね。そんな溜めても意味ないし。」


「うん………」


「じゃあ言うね。私のお腹の中に赤ちゃんは………」


願う進藤。それは神に祈るように天へと願っていた。


「私のお腹の中に赤ちゃんは………」


進藤以外の人間も息を止めて百舌鳥先輩の言葉の続きを待つ。そして…………


「私のお腹の中に赤ちゃんは


今はいません………でした。」


その言葉を吐いた瞬間、

落ち込む百舌鳥先輩と見えないようにガッツポーズをする進藤。晃太からはガッツポーズがよく見えた。


「チクショー!一回だけの交尾では上手くいかなかったか………」


「一回の中で大量にされたけどね………」


「まぁでも今回は無理だったけど病院の先生からありがたい言葉もらったし?」


「ありがたい言葉?」


「うん。百舌鳥さんは赤ちゃんが欲しいんですか?って聞かれたから、うん!既成事実をつくるために一番いいから欲しいんです!って言ったら」


「いや、本音をさらけ出し過ぎでは?」


遠くで眺める晃太もめちゃくちゃさらけ出すんだな……と思いながら話の続きを待つ。


「うん。そしたら、今回はたくさん精子の量はあったけどもそれが上手くピースとしてはまらなかったからちょっと……ってなったけど。これが一回ではなくもっと多くもっと時間をかければ出来る確率は格段にあがるって聞いてさ……」


嫌な予感は晃太でもした。


「今からホテル予約したから一緒にいこ…」


「いやいや。ムリムリ!何でいくの!」


「だって質より量だって言うから」


「そんなこと病院の先生から聞いてないでしょ?」


「大丈夫。ちゃんと親からも許可得てるし。」


「許可?」


「ホテル行ってくる!優くんと!って行ったら皆あっ、うん……そうか…わかったよ…って!」


「諦められてんだよ!やめてよ!やめてくれよ!」


「だから早く行こ?」


「ちょっと待って。ちょっと、力強っ。ちょっと晃太!晃太!助けろ!いや、助けて!」


「いや、助けたいのは山々なんだけど……こっちも色々あるし……」


「それよりオレの貞操を守れよ!」


「もう破られてるものを守っても意味ないじゃん?」


「この………チクショウ!な、な、なんかバチあたれ~!」


そう言いながら百舌鳥先輩に引きづられ深淵へと連れていかれた……


バチあたれ、か。

姉さんと香織、彗(気絶中)、そして雫。

この状態がすでにバチあたってる状態ではないか?

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