第191話 5人揃えば文殊の知恵じゃなくてただの争い

香織と姉さん、2人が対面し見つめあうのが数十秒の間があった。

その沈黙を破ったのは

香織からだった。


「晃太くんのお姉さんですよね?お久しぶりです。」


ペコリと頭を下げる香織。


「お前は…………沢か?」


姉さんの中でも香織の存在は少しだが残っていたようだ。


「そうです。沢 香織です。お久しぶりです。晃太くんのお姉さん。」


「………お前が何でここにいるんだよ?」


本質をつく質問。

ここで香織が あ、晃太くんと付き合ったんですよ!あっ。付き合ったしツキアイましたけどね!?とかいつもみたいにふざけたこと言ったらもう完全にヘイトは香織に………


「あ。実は………」


ニヤニヤしながら香織の言葉の続きを待つ雫。その顔は悪魔に、子悪魔に見えた。

香織…………もうお前と付き合うのは無理なんだろうな、晃太からは何も言えない。言えば姉さんが倒れそうで………怖いし。まずそんな言葉を告げる勇気はない。だって相手はブラコンモンスターなんだから………


そう頭で回転させながら晃太は香織の言葉の続きを待つしかなかった………


「実は………言い忘れてたんですけど。」


「なんだよ?」


「私、晃太くんの

親友まだやってるんですよね。」


「え?」

「えっ?」


予想外の回答に晃太と雫は思わず声が出てしまう。


「親友だぁ?そう言えばお前こーちゃんと仲良かったよな?」


「そうなんです。お姉さんが女子が嫌いなのは知ってるんですけどまだその~晃太くんが私のことを親友だと認めてくれてるみたいで嬉しいことに。だからまだ仲良くさせていただいてます。すいません。女子が嫌いなのは重々承知してるんですけど……」


ペラペラとまるで考えた、いや考えていたように言葉を並べる香織。


え、一体どうした……


「どうしたんだよ?お前?お前が愛人様の友達?嘘言えよ。お前は愛人様の……むごごご」


横にいて不思議そうにする彗の口をふさぐ香織。


「愛人様?お前は誰だよ?」


「あ、お初にお目にかかりますかね?私は愛人様の愛人になりました。綾崎 彗と言います。以後お見知りおきを。」


お見知りおけないだろ。その言葉、キラーワードばっかりなんだから。ふざけるなよ……


「はぁ?愛人様?ふざけるなよ?」


「え?ふざけるな……?」


「お前か?こーちゃんの貞操を奪いこれからも弄ぼうとしているって言うクソ女は?」


「え?」

「……………」


普通にびっくりする彗と作戦が失敗したことを早くも悟る雫………

その5人の攻防を見て晃太は話に入ることが出来ずただただ見つめることしか出来なかった………

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