第190話 遭遇
「まぁ。こんな感じかな?」
「………」
雫が言った言葉、言った話を理解する、理解しようとする晃太だったが………理解出来なかった。いや、理解したくなかった。理解しようと思えば理解出来たかも知れないが……これ以上脳に頭にいらない情報をいれなくなかった。
だが一つ思ったのは。
「俺がスマホを置いていかなければ……もしかしたら姉さんは来なかったかもしれないんだよな………」
そう思うと………昨日に戻りたい。
「いや。私は何処に行くか知ってたけどね。話を聞いてたし?」
「でも何処の病院かまでは知らなかっただろ?」
「まぁ、でも意地でも見つけただろうね!」
「………」
胸を張って誇る目の前の雫を見てよりスマホを置いてきたことをより、より、より………後悔した晃太だった。
「てか、お前の話を聞いてると今日、この現場で理解してもらう、姉さんに理解してもらうって意味に聞こえるけど?」
「え?その通りだけど?」
え?何言ってるんですか?みたいな顔をする雫。その顔がよりムカつきをヒートアップさせそうだ。
「何を理解してもらうんだよ?」
「え?今のこーくんの現状ですよぉ~?」
「現状?」
悪い笑みをする雫。
「私は今、彼女(仮)という言い分でここに来てます。まぁ、それをお姉さまは信じてはくれなかったですが、まぁそんなモノはどうでもいいんです。私の真の目的は、香織先輩の言葉なんですよ。」
「香織の言葉?」
「まだ分かりませんか?私がまだ彼女(仮)という存在に落ち着いてるのは香織先輩のこぼれる言葉を待ってるからですよ?私が彼女。私がこーくんとセックスしたとお姉さまの前で言うことを。」
「は?」
「そう言うことでお姉さまのヘイトは全部香織先輩に向くんですよ!」
「まさか、お前………それが目的で……」
「にししっ!」
どこかの海賊みたいに笑う雫だがその笑みは悪魔のように見えた。
「おい。雫だっけ?」
「お。私の名前覚えてくれたんですね!お姉さま!」
「覚えてねーよ。口が腐りそうだからあんま言わすな。」
「照れ隠しですかぁ?」
「あ?」
「アハハ!まぁいいですよ!どうしたんですか?」
「いつまでこーちゃんと喋ってんだよ?」
「あ、すいません!ちょっと話が盛り上がっちゃって!」
「おい。雫………」
「こーくん。」
「あ?」
「今、今日にでもその雫、って呼び方。しーちゃんって呼び方に変わるかもですね。」
「………お前………」
「えへへ、あっ。」
あっ。と雫が言った、そのさきには………
「…………あれは。」
「……………」
無言でこちらを、無言で晃太、雫、そして姉さんを見つめる
香織と彗の姿があった。
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