第189話 同盟(仮)

「彼女(仮)ってなんだよ?」


「彼女(仮)は彼女(仮)だよ。」


「だよ。って、お前は私の友達じゃねーんだよ。クソビッ○が」


「友達とは言わなくてもいいですよ。協力者、と呼んでもらえればそれで大丈夫です。」


「だから。テメェは何を言ってんだ。」


「私、言いましたよ?私を彼女(仮)にすればそれでOK………」


「何のために?意味がわかんねーんだよ。」


「いや。いやいや。私さっき言いましたよ?こーくんに今貞操の危機が訪れているって」


「貞操……だと?」


「うん!」


顔が少し歪んだ気がした彼女に雫は更に自分の考えついた案をぶつけていく。


「実は、お姉さま、名前は出さないですけど、ある人物がこーくんの貞操、そして色んなモノを盗もうとしているって。」


「ナニ?」


「ホントですよ。ホントに貞操を奪おうと、いや………もしかしたら貞操が奪われてしまったかもしれな」


「はぁっ?」


彼女は近くにあったものさしを曲げる。

そのものさしは鉄製だったけど音もなく曲げた。


「いやいや。ものさし曲がったよ?」


「テメェはため口聞くな。ふざけんな。」


「いやいや、私は協力者だよ?だよ?」


「ふざけんな。何が協力者だよ。」


「協力者だよ。私は協 力 者!」


「あん?」


「怖い怖い。」


「だから教えろ。テメェ何が協力者だよ?協力とかあんましたくねぇんだよ。」


「協力はしましょ?こーくんのために!」


「だから何でこーちゃんのために見ず知らずの女と手を組まないといけないんだよ?見ず知らずの女と手を組むこと自体嫌なのに。」


「私は見ず知らずじゃないですよ?」


「見ず知らずだろ。今初めて知ったんだから。」


「じゃあ今知ったんだから見ず知らずじゃないですよ!お姉さまの初めての女友達ですよ!」


「気楽に手を握ってくんな。汚い。」


「うわ。そんなバイ菌みたいに扱わないでくださいよ~。」


「女は全部バイ菌だ。私以外。」


「だから!そのバイ菌と考えてる他の女がこーくんの貞操………アソコを狙ってるんですよ!」


「お前のことをどこまで信じればいいのかわかんねーんだよ。」


「絶賛信じてくださいよ!」


「急に人んちにあがりこむヤツを?」


「でも私以上にヤバいヤツがこーくんのこと狙ってるんですよ?貞操を!」


「お前もヤバいって自覚してんのか。」


「そんなこと言えばお姉さまもヤバいヤツでしょ?」


「あ?」


「姉で弟のことを性の対象として見てるなんてヤバいですよ?」


「お前は私に好印象抱かれたいのか?抱かれたくないのか?どっちだよ?」


「私は本音しか言いませんよ?」


「………」


黙った、この瞬間が雫はチャンスだと思った。


「とりあえず、一旦手を組みませんか?

ほら明日、イベントがあるのでそこで確定させればいいので。」


「イベント?」


「そうです!明日こーくんが行く場所、理解してるのです!私は!ほら!」


雫は晃太のスマホを握りしめ言葉を続ける。


「このスマホに明日こーくん行く場所がしっかりライムされてきますから!」

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