第187話 最悪のプレゼン

外が騒がしいな……

そう思ったのは初めは彗だった。


「何か……騒がしくない?」


「どこが?」


香織がテキトーに返事する。

香織と彗の間にはまだまだ完全なる切れ目があるのだ。絶対に埋まることのない深い切れ目、断面が。


「アンタが見にいけば?」


「何でお前に言われないといけないんだよ?」


睨みをきかす2人。晃太がいなければ2人が仲良くする必要は全く無いのだ。


「どうでもいいから。今は赤ちゃんでしょ?」


「まぁ、そうだな。」


2人は外の喧騒を無視し今は百舌鳥の赤ちゃんがいるのかいないのか見ることに決めた。









「おい。晃太。って、あ、お姉さん。晃太のお姉さん……」


「久しぶりね。……………進藤 優くん……だったかしら?」


かなり考えながら進藤の名前を呼ぶ。

人の名前はほとんど覚えられない、特に男の名前は覚えられない姉さんにすればかなりの進歩である。

てかそんなことより。


「な、何で……ここが?」


「何でって、こーくん。当たり前でしょ?スマホがあるんだから。スマホのライムに場所と集合時刻が表示されてるんだから。当たり前でしょ?」


晃太のスマホを見せながらルンルンと言う雫。


「てか…………雫ちゃん………だっけ?何か2人、晃太と距離感が近くない?どうしたの?」


「どうした………って、ね~。お姉さん。」


「……………あぁ。」


ちょっと待って。


「ちょっと雫ちゃん?」


「あ、こーくん!雫ちゃんじゃなくてしーちゃんでしょ?もうっ」


「ちょっと待て待て。ちょっとこっちこい。」


「あっ………こーくん、かなり強引だね!あんっ。」


「やめろ。ちょっとこい。」


人のいないすみっこに雫を連れていき晃太は話を聞く。


「結構強引ね………こーくん、流石ね……」


「うるせぇよ!お前どうしたんだよ?」


「どうした、とは?」


「分かるだろ!」


バレないように指さしながら雫に聞く。


「姉さんへの言い訳どうした?」


「言い訳?言い訳していいわけ?ってね!」


「キラっ!じゃねーんだよ!ふざけんな!俺の意見を聞けや!お前どうしたんだよ?姉さんへの言い訳!」


「言い訳?言い訳なんてしてないよぉ~?私が言ったのは~」


「言ったのは?」



ニヤリと笑いながら雫はこう言った………


「私は

社 晃太くんと付き合っています。幸山 雫です!ってね?」


「………は?」


「え、だから。私が彼女だって言ったんだって。」


「は?は?は?は?は?…………」


雫と姉さんを交互に見ながら晃太は…………


ドタっと倒れる。


イヤイヤ…………どうすればいいんだよ……


頭痛くなる………


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