第186話 怪物~Monster~
看護婦さん、ナースさん達が不思議そうに見ている。その視線の先には………
「ちょ、晃太!何で逃げようとするんだよ!」
「逃げるんじゃない!隠れんだよ!?だから手を離せ!すいませーん!ナースさーん!誰でもいいですー!この病院の中で怪物からでも逃げられるような場所を教えてくださ~い!あ、男子トイレとかは無しです!もっと他の場所を教えてくださ~い!」
「おい!晃太。どうしたんだよ?大丈夫か?」
「大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫、だから手を離そ?俺はこのまま隠れ去るから!」
「だから何で隠れんだよ?どうしたんだよ?」
「大丈夫だから。大丈夫だから。俺を離してくれ。俺はまだ死にたくない。」
「死ぬ?何の話だよ?」
「とりあえず皆さーん!何処かいい隠れ場所ありますか~?あ、そこのナースさん!え~っと………名札、飯田さんかな?飯田さんどうぞっ。」
「え、わ、私?」
「はい!あなた!あなた、ヨロシク!」
「よろしくって………」
「隠れ場所があればいいんですよ!はい!どうぞ!」
「え~っと………使われてない部屋が7階に……」
「何て部屋?」
「え、703室ですけど………」
「ありがと!飯田さんに拍手!ということで?」
「で?じゃなくて!お前落ち着け!」
「落ち着いてられるか!」
手を振りほどく晃太。
「どうしたんだよ?急に?さっきの電話か?」
「あぁ!そうだよ!だから逃がせ!」
「逃がせって………どうしたん………ただの間違い電話だろ?」
「間違い電話じゃない!だから逃が」
プルプル………
「うん?着信?あ。晃太のスマホ……って……」
その進藤の言葉を聞いた瞬間逃げた晃太。
「ちょ、晃太?ん、もう……何だ?着信には出るからな!」
ピッ。
「もしもし?………はい?え?もう?」
ヤバいヤバいヤバいヤバい!
早く逃げねーと!来る!奴らが!
ポチポチポチポチ。何度もボタンを押す。そこはエレベーター。
「早くっ。早くっ。早くこいっ!」
下から来てるけど。早く、早く………
ピ~ン。
「ついた!早く7階に………」
「おはよ~。」
「え?」
「おはよ~。こーくん!」
「あ、い、いや~!!!」
目の前にいるのは………しず………
「階段!階段でっ!」
彼女から逃げて階段へと向かう晃太。
「7階までダッシュで!逃げればっ………」
「もしもし。もしもし。」
「へ?」
「もしもし。私メリーお姉ちゃん。今貴方の目の前にいるの。」
ダッシュしようとした足がもつれ彼女の前で転ける晃太………
「もしもし。こーちゃん。」
「もしもし。こーくん。」
「「今私たち貴方の目の前にいるの」」
「……………」
「おはよ!こーくん!雫だよ!」
「おはよう。こーちゃん。大好きなお姉ちゃんだよ!」
「「もう逃がさないからね?」」
あ、地獄だ。
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