第185話 メリーさん。(×2)
「検査はすぐ済むの?」
「分かんない。けどとりあえずゆっくりして安静にしてねって言われたよ?」
「そっか~!」
「百舌鳥さーん。」
「は~い!」
呼ばれた百舌鳥先輩、呼んだのは病院の看護師さん。
「じゃあ私行ってくるね~!」
「うん。いい結果を望んでるよ~!」
ブンブン手をひろげながら送り出す香織。
そしてペコリと頭を下げながら百舌鳥先輩とともについていく百舌鳥先輩の親御さんと進藤のお父さん……ん?
「おい。」
「ん?」
「いや。ん?じゃなくてな。」
「ん?」
「何でお前行かねーんだよ。進藤」
「いやいや」
「いやいやじゃなくてさ………」
苦笑いでこちらを見るけどさ。
「お前も当事者だろ?てか愛梨ちゃんに付き添うのがお前の役割だろ?ふざけんなよ。行けよ。」
「香織。落ち着いて。」
ボロクソに言う香織をなだめながら晃太も聞いてみる。
「お前は行かねーのか?」
「いきたくない……」
「いきたくないって………」
「いきていたくない………」
「言葉の意味合いが変わってくるだろ」
行きたいと生きたいと意味が全く違うだろ。
「お前の親父さんも行ったぞ?お前も行くべきじゃねーのか?」
「むり。たえれない。だからおまえらよんだんだよ」
「俺らを心のサポーターみたいな使い方すんなよ。」
「私代わりに行こうかな?」
「愛人様私も行きたいです。」
「勝手にすれば?迷惑かけんなよ?」
「「将来のために!」」
2人揃って百舌鳥先輩の元へと向かう。
「お前………あの2人の扱いに慣れたのか?」
「慣れてないけど?」
「もう2人を養うことを覚悟したんだな…」
「してねーよ。馬鹿」
「え?だからあんな自由に……」
「ほっといたほうがマシだからだよ。」
「そっか………」
納得した様子の進藤。いや覚悟とか慣れたとかそんなんないから。まだ絶賛逃げる一本で考えてますから。
「そういえばお前。」
「うん?」
「何でスマホねーんだよ。」
「あー。忘れたんだよ。」
「忘れた?何処に?」
「家だよ………多分。」
「多分ってなんだよ。失くしたのか?それなら電話かけてやろうか?」
「かけなくていいから。」
「そうか?うん?」
スマホを見て不思議そうにする進藤。
「どした?進藤。」
「え、いや。電話。」
「あ?」
「電話。お前から。お前のスマホから。電話かかってきた。」
スマホの画面を見せてくる進藤。
そこには確かに晃太の名前が………
「出なくていいから!」
「何言ってんだよ。誰か失くした人が拾ってくれたかもしれねーだろ?」
「いや、スマホはうちにあるから!絶対に!」
「とりあえず出るぞ?」
「ちょっとま」
「もしもし?」
スマホの通話に出る進藤………
そして………すぐさま切る進藤。
「ど、どした?」
「え?何か間違い電話かもよ?」
「は?何て言ってたんだよ?」
「え?
私たち、メリーさん。今病院の前にいるの
って」
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