第170話 お風呂論争

今何て言った?今何て姉さんは言ったか?いや、聞き流せばいいのか?聞き流せば済む話……


「一緒にお風呂入ろ。」


いやそんな問題じゃなかったわ。


「え、一緒に?一緒に入る?」


「うん。久々に帰ってきたし。」


「いや……お風呂狭いしさ」


「狭いからいいんだよ。」


「??」


普通に断っても無理か。ならガツンっと……


「姉さん。」


「こーね、ね?」


「あ………こーね」


初っぱなから足挫いた。だが行くぞ。


「こーねは何歳?」


「年齢とか性別とか関係ないの。」


「いや……」


「私たちは姉弟だよね?」


「あ、うん………」


「姉と弟には同じ血が流れてるよね?つまり同じ人間に近い訳じゃん。だから性別が違っても年齢もなくて一緒に入れる。分かる?」


「わか………らないよ!」


一瞬納得しかけた。ヤバい。ヤバい。これが洗脳か………


「何故に入らないの?」


「いや………年がね………」


「年だけ?」


「え?」


「なんかね私ね変な違和感を感じてるんだよ。前に帰ってきたときにはなかったこーちゃんの焦り、そして匂い。」


「に、匂い?」


「女の匂い。」


スゥーっと背中が寒くなる感覚がした。冷や汗も出てきた…


「お、女の匂いってな、な、なに?」


「こーちゃん。」


「はい……」


「何か隠してない?」


扉を開けてないのにそこに目があるような感覚がした。恐怖を感じた。


「な、な、何かって………何……?」


「そりゃ思春期の男の子だもんね。隠し事はあるよね?じゃあ聞き方を変えるね?

最近女性関係で彼女とかそんな関係で何か変化はない?」


危なかった。前に扉があって。完全にアウトの顔をしていた。


「か、か、彼女が出来たかってことでしょ?で、できてないよ……できるわけな」


「ホント?」


「ほ、ホント………」


「じゃあ一緒にお風呂に入れるよね?」


「い、いや………それはよくわからないけど………」


「じゃあ彼女いるんだ。彼女いるのか……殺すか………」


「いやいやいやいや………」


「じゃあ入れるよね?」


「いやいや……いやいや……」


「じゃあ待ってるからね。」


「ちょっと待ってよ………」


「来なかったら彼女いるってことで殺すからね?彼女もこーちゃんも。いや、こーちゃんは半殺しにしてあげるね?じゃあね。」


「ちょっと……」


「待ってるね。」


階段を下りていく音が聞こえてくる。




「マジかよ…………」


「ねーねー。お姉さんっておっぱいデカイ?」


「あ?デカイんじゃないの……」


「何カップ?」


「知らな………いや、確か前にいらない情報でJとか……」


「うわっ!みんなデカイじゃん!私もでかくなりたい!」


いや、ここで駄々こねられてもしらないんだけども………

てか話を全てしっかり聞いて出た答えがそれかよ……もう少し親身になって考えろよ… マジで。


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