第169話 お誘いは突然に
「ふぅ~。お腹いっぱいだよ~!」
「そ、そうだね………」
満足げな姉さんだが晃太は満腹とかより疲れと心の疲れが凄かった。
だってさぁ?一時間だよ?一時間も。一時間も。一時間もあーんで食べさしあいしてたんだよ?当然自分で食べるより疲れるし母と父のこちらを見ようと露骨にしない態度が逆にキツかったし……まず大体一時間もあーんがキツイし。体力無いし。お腹は満腹とか関係ないけどとりあえずキツイ。何故だろう。何故だろうね………
「いっぱい食べたけどまだまだ残ってるね?」
「あ、そうだね………あっ!そうだ。」
「どうしたの?急に思い出したみたいに?」
「思い出したとかじゃないけどさ………あの………残ってるお寿司自分の部屋に持っていってもいい?」
「うん?」
「いや、あの………全部じゃないけどね!ちょっとお腹空いた時に食べようと思ってさぁ!」
変に声をデカくしてしまったから姉さんの顔が不思議そうにしているが………
ダメか………
「別に持っていったらいいじゃん!食べ盛りなんだから!食べよう!食べよう!いっぱい持って行きな?」
「ありがと………だけどそんなにいらな…うわぁ!」
ガチャ。
「雫………」
「もう何してるの?遅かったじゃないの?何してるの?何してるの?」
「お前が何をしてんだよ。」
ガチャっと鍵を閉めながら前に広がるダメな雫をさとそうとする。
「あ、お寿司じゃん!スゴッ!豪華!私お寿司はサーモンが好きなんだよ!ある?」
「ある?じゃねーよ。お前は何をしてんだよ?」
「え?こーくんのベッドに入って匂いをかいで匂いをつけてる。マーキング!」
「ふざけるな。犬か。てか人のベッドに勝手に入るな。」
「大丈夫だよ。入るときに失礼します!って言って入ったから。」
「それは誰にむけて?」
「神にむけて。」
「神は何て?」
「OKって!」
「神は信じねぇわ………」
「お?海賊狩り?」
「どうでもいいから出ろ!で寿司食えよ!」
「ありがと!食べるね!食べる!」
ムシャムシャと食べる雫。
「お前容赦とか遠慮とかないんだな?」
「遠慮したら人間は死ぬんだよ?一回しかない人生遠慮なんてしないで生きないと!」
「お前にそんな人生論たれられると思わなかったわ………」
こんなヤツばっかりなら世界は平和なんだろうな……と思った。
トントンっ。
ドアが叩かれる音が聞こえる……
雫に必死にしーっとサインを出しながら応答する。
「こーちゃん?」
「ね、姉さん?な、な、何?」
「何で扉閉めてるの?」
「え、い、いつも閉めてるんだ!あの……いつものルーティンだよ!」
「へぇ……………」
ワントーン落ちた声が聞こえて怖いが……とりあえず………
「どうしたの?」
「…………お風呂が沸いたよ。」
「あ、そうなんだ!なら姉さんからはい…」
「一緒に入ろ。」
「え?」
「一緒に入ろ。こーちゃん。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます