第168話 寿司くぃねぇ!

ちなみに心音姉さんの好きなモノは寿司。

だから今日の夕飯は寿司だった。もう雫のヤツのおにぎりとか寿司何個かにしとこ。

机の上には大量の寿司が。これはもう完全に食べきれない、まぁそれ前提で買ってきてるんだろうけど。


「わぁ!いっぱいあるね!」


「久々に帰ってくるからね。心音が。お父さんがね」


「一応奮発した。」


「ありがとう!じゃあ食べよう!ほらおいで?こーちゃん私の膝の上で。」


「いやいや。自分の椅子で食べるから……」


「もうっ。昔は私の膝の上で食べてたのに?」


「何年前の話だよ……」


「え、でも中学くらいまではしてなかった?膝の上で食べること?」


「無理矢理してきたのを逃げられなかったからでしょ?」


「酷いね~。こーちゃんは。こーちゃんお姉ちゃん嫌いなの?」


「きら……嫌いとかじゃないよ……ただ普通の姉弟はこんなことしないから……」


「普通ってなに?」


「え?」


ニコッと笑いこちらをむく彼女。


「姉と弟の普通の関係とかなに?普通の関係ってなに?別に私はこーちゃんのこと好きなだけだから。それが誰よりも好きなだけ。ただそれだけ。誰よりも世界の誰よりも好きなだけ。ただそれだけ。それが普通じゃなくてもいいさ。私は好きなんだから。」


悪びれた様子もなく普通に話す。

まるで当然とばかりに……


「じゃあ膝はやめるよ。膝じゃなくて隣に座って?それならいいでしょ?」


「あ、ま、まぁい、いいけど……」


「じゃあ来て。ほらほら!」


呼ばれるがままに行く晃太。


「じゃあせーの!」


パンと手を合わせ……


「「いただきます」」


「こーちゃんサーモン好きだよね?ほらはい!」


「あ、ありがと……」


「ううん。」


皿に乗せてくれると思ったがそれは口の方に……


「あーん!」


「あ、あーん?」


「ほらちゃんと食べてくれないと醤油落ちちゃうよ?ほら、ほら。」


「あ~、……う~……あーん……」


口に広がるサーモンの味……美味しいけど目の前の笑顔のインパクトがすごい……


「あ、美味しいよ……ありがと」


「はい。」


「え?」


「はい。はい、口に。」


「え?」


「あげたんだから……需要と供給だよ?ほら。私の好きなマグロね?」


「あ、わ、わかった……よ……」


マグロを箸で掴み……


「ちょっと待って。私の箸で掴んで?」


「え、何で?」


「何で?間接キスするためじゃん」


「……もういいよ……堂々としすぎて……わかったよ……」


堂々としすぎて逆にもう怒るとかなくなったよ……


マグロを心音姉さんに掴み……口にむけて…


「あーん……」


「あーん!」


「ちょっと!どこまで箸噛んでるの?」


手のギリギリまで口に含む姉さん。


「え?だって手にキスしようと思って!」


「……………」


「とりあえずドンドン食べていこ!もちろんあーんして?」


「……………あ、はい………」


それからニコニコの笑顔の彼女と晃太は約一時間にわたりあーんで食べさせあいをしていた。










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