第167話 姉強襲。

ピンポーン。


鳴り響くチャイムの音。そして微かに聞こえる彼女の声。


「あ、お姉さん帰ってきたんじゃない?私がで」


「出るな!死ぬぞ!」


「そこまでいう?」


「とりあえずお前は俺の部屋に居てろ!」


「え、居てていいの?何するか分からないよ?」


「分からなくてもいいから!もう我慢するから!ここに居ろ!」


「は~い!」


「ただしあんまりなことすると夕飯作ってきてやらないからな?」


「え?」


「え、何だよ?」


「夕飯のことも考えてくれてるんだぁ~。優しいにゃ~!大好きぃ!」


「引っ付くな!バカ!とりあえず静かにしてろ!」


引っ付いてくる彼女を引き離し何とか自分の部屋から出る。

そして………


「フゥ~…………」


と息を吐き出す。そして頬を叩き階段を降りていく。トコトコと……その間もなり続けるピンポーンっという音。

動揺せず普通に。

それを心に刻みながらドアを開ける……


ガバッ!


あまりの勢いに倒れそうになるが何とか耐える。

凄い勢いのタックルである。怖くて一瞬目を伏せたが、恐る恐る開けると……そこには


「久々!こーちゃん!」


「久々だね………心音姉さん……」


ニコニコの美人でスタイルの良いロングヘアーの彼女が社 心音である。看護師、病院での呼び名は 病院内の天使。昔はアイドルも目指せといわれていたくらいのレベルの美人、アイドルにならなかったのも こーくん以外の男に媚を売るのが嫌だからと言うイカれた理由で………


「どしたの?急に固まって?」


「え?どうもしてないよ?ほら入って、入っ」


「てかさ。」


「うん?」


「こーくん、心音姉さんって堅苦しくない?」


「いや、心音姉さんじゃん……」


「心音、かこーねって言ってよ?」


「いや………その呼び方は友達みたいじゃ…」


「一人の女性として見てよ。」


「あ………う………」


姉からその言葉はヤバいけど……こーゆー人だから………


「じゃあ……心音で。」


「こーねにして。」


「あ、じゃあこーねで………じゃ入ってくださ」


「ちょっと待って。」


「何?」


クンクンとにおぐ。そして……


「何か色んな女の匂いがするよ?」


「さっ!早く入ろ!」


逃げろ、と本能が言っていた………

てか匂いで分かるの怖いけど……


「お姉ちゃんが居ない間いっぱいオイタした?」


「お、オイタ?」


「まぁ、いいよ。聞いていくし。すぐ分かるはずだから」


「…………」


「パパとママにも挨拶してくる。あ、その前に……」


「うん?」


ちゅ、頬に柔らかい感触。それは彼女の唇で


「ゼンギね?また後で続きは。」


そう言って去る彼女。

いや、続きとか普通ないし………夜嫌な予感しかしない。

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