第166話 いらない最悪な覚悟と始まりの合図

社 心音(やしろ ここね) 23歳 看護師 晃太の5つ上の姉。いつも優しく小さな時泣き虫だった晃太のことをいつも包み込んでくれた優しき姉。……………それだけなら何も別に変なことはない。優しい姉なんだなぁで終わる話なんだが、彼女の愛は少し歪んでいた。

どんだけ大きくなっても弟離れができず見た目はとても美人なのに全ての男子をフッて一目散に晃太にくる姉だった。

高校に入ってもそれは治らず一緒にお風呂に入ったりすることが度々で夜中に夜這いに来たり………

そのヤバさにあのうちの親ですらもヤバいと思い何か適当な理由をつけて姉さんを一人暮らしさせ一旦離れさせたほどだ。

だが1ヶ月に1、2回は帰ってくるのだが……



「よりによって雫の脅しの日に限って……」


「酷いこというな~。私だって知らなかったんだから仕方ないでしょ?」


「そう思うなら帰れよ……」


「う~ん………何かプレゼント欲しいけど……」


「ん~………じゃあこの使わなくなった服や、早っ。」


ギュッ~っとする雫。そしてにおぐ。におぐ。


「帰る~!ですぐこれ寝巻きにする。で外でも着る!」


「あっそ。そりゃ良かったね。じゃあ帰って………」


「あ、一つ聞いてもいい?」


「何だよ?」


「そのお姉さんは香織ちゃんや綾崎さんのことは知ってるの?」


「綾崎は多分知らんてか忘れてるだろうけど………香織は危険人物だって理解して遠ざけるようにしているけど………」


「危険人物?」


「アイツが俺のことを好きだって今となれば理解してたのか近づいたり一緒に遊んだりしないほうがいいって言ってたな……今となればしっかり聞いとけば良かったのになと思うけど……」


「ふ~ん。つまり香織ちゃんと付き合ってることがバレたら?」


「まぁ、ヤバいわな。ヤバいというか発狂するかもしれないな……」


その言葉を聞いた雫は帰ろうとした足を元に戻す。


「やっぱり私残る。」


「は?話がちが」


「この服はもらうよ?これは欲しいから!」


「いや、そんなことより帰れ……」


「帰らない!でお姉さんという壁に立ち向かう!」


「ちょ、立ち向かうって……マジでいらんことすんなよ?」


「お姉さんをもし攻略出来れば、出来るならそうすれば姉様公認第一号となって……一番リード出来て私が言ってた、ゼロにできる!香織ちゃんと付き合ってたことすらも平らに出来る!」


「ちょ、ちょ、お前姉貴の前には出るなよ?頼むから!」


「まぁまぁ………」


「まぁまぁ……じゃねーから!マジで……」


ピンポーン………



それはこれから始まるすべての地獄の始まりだった。


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