第165話 身近にも強大なる敵

「ただいま…………」


「あら!おかえり!」


「うわっ!ビックリしたぁ!母さんかよ…」


「アンタこそどしたの?ちょっと遅かったじゃない?あ、わかった!香織ちゃんといちゃラブ……」


「してねーよ。てか香織とは今日は帰ってねーんだよ。」


「あら、そう。…………てか何その大きな鞄?」


「え?これ?」


「それ以外ないでしょ?何を持って帰ってきたの?てかうちにあった?そんなデカイ鞄?」


「が、学校で貰ったんだよ。今日夏休みが近いからって理由で持って帰れ、って言われたんだけど俺鞄無くて。だから担任の先生がな、くれた訳よ。」


「に、してはでかすぎじゃない?」


「うちの担任無能だからさ」


「それにそんなに入れるほど教科書持っていってたっけ?大体毎日持って帰ってきてなか」


「痛い痛い痛い痛い痛い!とりあえずスゲー重いから俺の部屋に運ぶね?うんじゃあ!」


「ちょっと待ちなさい。」


「何?重いから早くしてほしいんだけど…」


「今日あの子帰ってくるから久々に。」


「あの子?」


「私たちは口裏合わせて言わないようにするけど。」


「何の話だよ?一体?見えてこねーんだけど?」


「心音(ここね)帰ってくるから。しっかりしてなさいよ。あんたも」


「……………………へ。マジかよ。」





ドスーン。ガチャ。

自室に入った晃太は鍵をしめそして鞄を下に落とすように置く。

はぁ…………っと息をつく間もなく鞄からニュッと手が出てきて………


「タラリラ~!潜入せいこー!痛!」


「バカ!声デケーよ!」


「え、だって好きな人の家に来れたんだよ?そりゃ興奮するでしょ?スンスンスンスンスンスン、いっぱい吸っとこ。あ、後この使わないような消しゴムくれる?」


「気持ち悪い行動をするな!あと何で消しゴム?別にいいけど何に使うんだよ?」


「何に使う………ふへへへ………」


「ダメ。良からぬことに使うならやめよ?」


「使わないよ。ただ神棚に並べるんだよ?コレクションとして。」


「果たしてそれがいい使い方なのか俺には分からんが………まぁいいわ。それより……はぁ…………」


「どしたの?一体こーくん?疲れた?肩でも揉もうか?」


「いらない。いらない。体じゃなくて神経的なモンだから。」


「神経?」


「はぁ…………さっきお前も」


「お前じゃない。雫。もしくはしーちゃ」


「雫も鞄の中で聞いてただろ?心音の話。」


「ぶぅ~。しーちゃんとは絶対に言わない気だね?」


「言うかよ。バカ。」


「ムッ。絶対言わせてやるもん!」


「んで。そんなことより心音だよ。心音。」


「心音さん?心音さんって誰?」


「社 心音(やしろ ここね) うちの家族で俺のお姉ちゃんで……」


「で?」


「で…………重度のブラコンの姉貴なんだよ。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る