第164話 地獄の選択

ゴホゴホっと………

そりゃな…………

目の前でむせる彼女。彼女イコール雫。

ようやく止まったのか何とか息を吹き返した彼女。


「はぁはぁはぁ………ビックリしたでしょ?」


「ビックリ………はしたな。」


「ジュース買って欲しかったのは間接キスがしたかったからなのさ。」


「別にお茶で良かったよな……」


「いや。やっぱり青春といえばサイダー。炭酸シュワッとしたモノが必要だからね!」


「そういうもんか?」


「そういうもんだよ!」


死にかけてるヤツに言われてもな………

炭酸で溺れてんだもん。


「ともかくコンビニでしたいことはやったから!満足!満足!」


「お前……」


「うん?お前じゃなくて私は雫だよ?」


「そのゴミ捨てろよ。」


「ゴミって?」


「炭酸ですけど?」


「まだ一口二口あるから。」


「じゃあ飲めよ。」


「ダメだよ。これは聖水なんだから。私の部屋に飾るんだから。」


「…………何で聖水?」


「こーくんが飲んだか」


「あー聞かなくていいや。ほらチョコのアイス!」


「あ、疲れてチョコ欲しくな」


「欲しくないです!」




恋愛をすると人は何個かネジが外れるのか?いや晃太の周りだけなのか?

横のチョコアイスを美味しそうに食べるミニサイズ少女を見ながらそう考える。


「どうしたの?一口食べる?一口つけようか?それによって聖なる棒になるけど。」


「お前は魔王でも倒しにいくのか?」


どんだけ清らかにしたいんだよ。



「ふぅ~ゴチそう様です!」


「あ、そりゃ良かったな~。」


「美味しかったよ!」


「あ、そう。なら良かった。じゃあオレは帰るんで………」


立とうとした晃太の袖を引っ張る彼女。


「まだ帰りたくないな。」


「いや、帰らないとそろそろライムでもかかってくると思うんだけど。彼女さんから。」


「うん。帰っていいよ。でも私も連れて帰って。」


「……………は?」


コイツは何を言ってるんだ?


「うち、一人暮しじゃないんよ。」


「知ってるよ。」


「今日もしっかり全員家族集合してんだわ。」


「そうだろうね。」


「うん。今の説明聞いてたら分かるよな?無理だと………」


「タンタラリラ~!」


「何?」


何だその変な効果音は。


「デッカイ鞄!」


「………これは?」


「デッカイ鞄だよ!」


「いや…………うん。デカイな………デカイ鞄だな………」


うんうん…………で?


「で?何?これは?」


「これの中に私入るから!」


「は?」


「この鞄を持ってこーくんの家まで行こう!」


いやいや…………


「おかしいだろ……」


「おかしくないよ?ほらほら私すっぽり入るよ!」


「わぁ~すごーい。人間入れるんだ~。じゃなくて!」


「ほらほら。こーくん早くしないと!」


「早くしないと何?」


「ライムくるでしょ?更にずっとこんなところでデッカイ鞄放置してたら警察もくるかも?」


「その場合は逃げるから」


「大丈夫。私袖絶対離さないから。誘拐されそうになりましたって言うから。」


「お前なぁ………」


「痴漢やこーゆーのは男子の方が弱いって法がつくられてるんだよ?」


「悪用したら意味ないだろ?」


「ほらほら。どうするの?ライム来るまで待つの?ずっとここなら香織さんはくるよ?もしかしたら綾崎さんもくるかも?それとも警察かな?」


コイツ………




「さぁ、どうする?こーくん?」

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